実力のある介護のリーダーで感覚派はほぼいない

介護のリーダー向け

どうも、介護福祉士のなおべい(@naobei)です!

 

今回は、介護職のリーダーについてのお話です。

よく二元論で感覚派(天才型)や理論派(秀才型)なんて分け方をきくこともありますが、

介護の仕事ではその辺りどうなのか?

 

一般的な目線で考えると、

お年寄りに優しい人、

人間性が豊かな人、

明るく気配りが出来る人

など対人感覚に優れた人が良さそうな気もしますが、

 

先に僕の結論を言うと、

ホントに実力のあるリーダーは

論理的に考える土台を作った上で感覚的な判断も出来るようになっている

人がほとんどです。


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感覚派があまり勧められない理由

実際に介護現場の仕事を考えると、

利用者さんとのコミュニケーションなどは各職員ごとの個性や感覚の出番が多いですが、

事故やヒヤリなどのリスクヘッジやケアについての書類作成は論理的な構成が求められることが多いです。

リーダーになる人はどっちも出来るようになる必要はあるんですが、

あきらかに論理で考えることの方がより優先的に大事になっていきます。

 

論理で考える領域での仕事の方がリーダーのメイン業務になるからです。

  

とはいえ感覚でもいいじゃないか!という方もいるかもしれません。

なぜ、感覚優先でリーダーやっちゃまずいんでしょうか?

本質的なことを考えるのを怠りやすい

リーダーがやる仕事は、職員に指導したり、チームとして動ける仕組みを作ったりするような機会が多いですが、どれも論理的なアプローチが必要な事柄になります。

とりわけ、どこに本質的な問題があるのか?など分析して考えていくことになるからです。

 

にも関わらず、深く考えることを怠ってしまうと、

「きっと、(職員や自分の)気持ちが足りないからだ」

「まだ、やっている回数や経験が少ないからだ」

と、あたかもそれっぽいところで、結論づけてしまいがちです。

 

これは本質的な部分にアプローチしているとはいえません。


特に介護現場は、人材不足や人材難だったりすることも実情として多いので、

深く考えずになんとなくの部分で結論づけたくなる気持ちもわからなくはないですが、

踏み込んで考える習慣をもってないと課題解決までの方法が確立されないので、いつまでたっても同じことをして前に進まない

なんてことが度々起きたりもします。

本来の実力を見誤るリスクにつながる

感覚優先の人は、起こっている結果を丁寧に考えることが苦手だったりします。

たとえば、

「なぜ、こういう結果になったのか?」

を問うと、

「よく分からない。なんとなく頑張っていたらこうなった。」

みたいな事もありがちです。

 

もしかしたら、会社などでは結果さえ出てれば文句は言わないのかもしれませんが、

実情は単にたまたま運が良かっただけという可能性もあります。

それでも結果さえ出ていれば評価はされるかもしれません。

 

けど、 

こうしたケースでは、

平均回帰

が後から発生します。

 

平均回帰とは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏が著書「ファスト&ロー」で、述べられている言葉です。

ダニエル・カーネマン氏によると、結果が出る法則は、

成功結果=才能+運で成り立ち、

とりわけ運の要素は長期や回数を重ねていく事で、

悪い事が続いても、後から良い方へ修正され、

良い事が続いても、後から悪い方へ修正され、

結果的には平均回帰が起こるそうです。

 

この法則を考えると、平均回帰してそれでも残った結果が本来の実力ともいえます。

 

感覚だけに頼るのは、成功や失敗の理由がハッキリしないので、

本来の実力を見誤ることにも繋がります。

良い結果が出ていれば気にならないかもしれませんが、その後悪化した後、取り戻し方がわからない状態にもなっているのであれば、実力のある人とはいえないんじゃないでしょうか。

他者に伝わる情報共有が出来ないと、それ以上その人の価値は上がらない

スポーツや芸術など個人競技でいかに価値を出すか、というような仕事であれば良い結果さえ出ていれば価値は上がるものもあると思いますが、

介護の仕事は個人プレーが評価される事はありつつも、基本的にはチームプレーで良い結果を生める人の方が価値が上がりやすいです。

 

例えば、

入浴拒否のおじいちゃん、夜間眠れないで徘徊しているおばあちゃんなどのケースの場合、

一人の職員の感覚的なアプローチで落ち着いたり、声かけを受け入れてくれるようなことも介護現場ではあるでしょう。

その場では確かにその職員さんは「出来る人」として認知されるかもしれませんが、

その職員さんの価値をもっと上げるには「みんなが実践出来るようにやり方を教えられる人」になった方が、人材価値は高まります。

 

つまり、感覚派では自分にしか出来ない事でストップしてしまいがちですが、

論理的に「なぜ、そうなるか?」を理解した上で他者に説明できるようになると、

周囲へもやり方や失敗例などが広がるので、情報源の人の価値が大きくなるんです。

 

介護の仕事は、

・職員のスキルレベルや価値観がバラバラ

・看護師、介護士、PT、STなど職種もバラバラ

でありつつも、連携をとって仕事をしていく事になるので、

論理でどうするかを考えて共通認識を作っていかないと良い結果を生むチームワークは出来なかったりします。

リーダーであるならば、尚このスキルは重要ですよね。

論理的に考えられるようになるアクションは?

構造化して考える癖をつける

「よし!じゃ論理的に考えよう!」

って思うとなんだか難しそうな気がする人もいるかもしれませんが、

シンプルに、

 

まずは

「構造を考える癖をつける」

 

だけでめちゃくちゃ違いがでます。

これができるようになるだけで、明らかに周囲の人と考えの深さで差がつきます。

 

例えば、

人が立つ為の条件を介護技術の勉強で学んだりすると思いますが、

①両足を地面につける

②重力による圧を前方に移動させる為、お辞儀をするような動作をする。

③その為に前方に多少空間がある事、膝を曲げる事ができる環境が必要。

④支持基底面を広げて立位後のバランスがとれるよう、足の幅を開いておくと安全

など

 ↓

さらに④の膝を曲げることについて具体的に深掘りすると?

・椅子に座っていると動作が楽になるんじゃないか

・低い椅子からは立ち上がりづらいのと、高すぎる椅子だと足がつかない危険もある

・その人の足の長さに合わせて椅子を用意するといいかも

など

と考えられるようになります。

 

これが構造的に考えることです。

つまり、

一つの事柄を細分化し、細かく分解して階層構造にして考えていく

ことです。

イメージとしては、頭の中でパソコンのファイルをフォルダ分けして管理して、必要なとき使えるようにする感じですね。

 

新しく下の階層を考えるときは、

「なぜ?」「どのように?」

と考えていくと見つかりやすいです。

仮説検証してみる

細分化して、考えがまとまってきたら、

抽象的なことを具体的なことにする。

⬇︎

実際に仮説検証するため、やってみる。

というプロセスを踏んで、

考えに間違いや修正点がないか確認してみるのも大事です。

事柄にもよりますが、複雑な事柄であるならば尚のことエラーは出やすいです。

 

ただやってみないことには、

どんなことをしなくちゃいけないのか。

どんな情報が必要なのか。

ブラッシュアップする上で不足している点がなかなか出てきません。

 

自分で論理的にそれっぽいと考えてしまうと、

「絶対正しいはず!」

と思い込んでしまいがちだからです。

 

思いこみを排除して、客観的に論理をブラッシュアップして構築することができれば、

考えの精度はどんどん上がります。

また、やってみて修正をして確証を得ることを繰り返す事で、

自分のレベルアップにもなりますし、他の人へも価値のある情報を出せるようにもなっていけます。

論理を突き詰めた先に精度の高い感覚的判断ができるようになる

感覚的に判断することは誰でも出来ます。

けど、

良い結果を起こせる精度の高い判断を感覚で行うには、

「どうすればいいか?」

「なぜ、こうなるのか?」

を論理的に一つ一つ突き詰めた先にあるものではないでしょうか。

 

何度も考えたり、似たようなケースに遭遇したりすることで、

自分の血肉になって感覚での判断が出来るようになります。

 

プロ野球選手のダルビッシュ選手が以前こんな言葉を言っていました。

「練習は嘘つかないって言葉があるけど、考えてやらないと普通に嘘つくよ。」

 

介護の仕事や他の仕事でも同じだと思います。

どんなに経験年数を重ねようが、どんな資格を持ってようが、

考えて自分の身になるものにしていなければ、それ以上の価値は生まれません。

転職の際の表面的な情報にはなり得ても、実力が露わになる現場では、メッキが剥がれます。

 

考えるプロセスは最初は面倒かもしれませんが、

習慣的に出来るようになった人は、いざ必要なときに使える能力を発揮できるようになるんです。

まとめ

・どうしてそうなるか?を本質的に理解しないと、自分の実力アップにならないので、リーダーとして他者へ共有できるレベルにはならない

・論理的に考えれられるようになる第一歩は、構造的に考える習慣を持つこと

・やってみることで修正点が見つかり、思い込みだけの状態を排除できる

・論理を突き詰めた先に感覚がある

 

感覚だけで仕事をしていると、その日の体調や気分でパフォーマンスが左右されることもあると思います。

しかし、細かくやるべきプロセスを理解していると、そこまでムラが出ず力を発揮できることにも繋がる。

自分なりに考える努力が論理的思考には伴いますが、人に伝える役割を担う人には必須のスキルです。

 

あえてダメなところをいうと、論理的に考えることには時間がかかること。

スピードが求められているときは感覚的に瞬間の判断をしないと間に合わないこともある。

 

ぶっちゃけ、

どちらも論理で判断することも、感覚で判断することも、

一長一短があって、状況に応じて補う関係でもありますが、

精度の底上げには面倒でも論理を考える必要があります。

 

ホントの意味での実力をつけるには、ただ経験を積むだけではダメで、

しっかり考えるプロセスを踏みながら経験を積まないといけないということですね。

 

今回は以上となります。

読んでいただきありがとうございました。

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