仮説思考でケアに取り組むことのススメ

介護のリーダー向け

介護の仕事で役立つ仮説思考についてのお話です。

 

仮説思考ってなに?

仮説思考とは、限られた情報を利用し、目標達成や問題解決に向けた仮説(仮の問いや結論)をたて、実行や検証をしていく思考法のことを言います。

この思考法ができるようになると、

・課題の発見

・問題の解決

が早く対応できるようになるんです。

特に、

様々な情報を扱いながら、何かしら結論を出して動いていかなきゃいけない人には、

とても役に立つ方法になります。

 

よくコンサルティングなどの業務をされている方が使われることが多い手法ですが、

介護の仕事でも使える考え方です。

・ケアに関するマネジメントを行っている人

・普段の利用者さんの対応のパターンを増やしたい人

・職員さんを巻き込んで仕組み作りをしたい人

にはオススメです。

 

今回は、仮説思考でケアに取り組む方法のアイデアを解説していきます。

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仮説思考が特に役に立つ場面

・業務の改善

・ケアの仕組みづくり

・利用者のニーズ解決

など

の場面で仮説思考は役に立ちます。

 

介護の仕事に関することを考えると、


・どんな問題(課題)があるか

・どうやって解決するか段落

・解決するために必要なものは何か

を素早く考え、引き出しをたくさん持っておくことが重要だったりします。

多様なニーズに応じれる土台があることが、ケアには求められるからです。

仮説思考の手順

実際に実行していくにあたっては、

 

シンプルに

仮説(=仮の答え)を考えて、進める。

 

まずはここからです。

しかし仮に答えを考えるといっても、

実際の実務では、答えの前に

「課題や問い」

も考えなきゃいけないケースも度々出てきます。

 

仮説思考のプロセスをもう少し詳しくしていくと・・・・、

①今ある情報や限られた情報でも材料にする

②自分なりにストーリーをイメージして描く(仮説を立てる)

「どこに問題があるのか」

「どうやったら解決できるか」

③検証するにあたって必要な情報だけ厳選して集めたり、分析する

④具体的に仮説検証、修正を繰り返す

⑤検証結果を必要としている人に伝える

というプロセスになっていきます。

 

PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善のサイクル)と似た部分はありますが、

仮説思考の最大の強みは、

結論までの早さ

にあります。

 

これを支えているのが、

「プロセスの中で情報収集を先にあまりやり過ぎず、仮説検証を優先する」

ところにあります。

 

計画や上昇収集などに時間と手数を使うよりも、繰り返し試行錯誤する速度をいかに早くするかがポイントです。

さらに、仮説思考に慣れてくれば、似たようなケースや応用が効くケースに出会ったときには見た瞬間に答えを出せるスキルが身につくこともできます。

介護現場でも仕事ができる人は、この仮説設定の精度が高い人が多かったりします。

 

よく仕事ができる人かどうかの判断で経験年数ができる人の一つの指標になりがちですが、

むしろケアの思考錯誤を繰り返してきた回数が多い人ほど、

「できる介護士さんになっている」という方が正しいかもしれません。

頭の回転とか勉強ができるとかではなく、

やって訓練すれば身につけられるので、是非チャレンジしてみてください。

仮説思考でケアを考えるのは相性がいい

実際のケアでは、

はじめにアセスメントや情報を網羅的に集める

それをもとにとりあえずプランを作る

サービスを利用して、モニタリングを定期的に行う

といった流れが一般的なケアの基本です。

 

定期的に担当者会議や書類作成があるおかげで、

やらなくちゃいけない業務になっている為、サービスの質の維持を確保できる反面、

臨機応変さや課題解決までのスピード感が出しにくい部分がぶっちゃけあります。

とはいえ、介護保険を使ったサービスであるならこれに則った手続きを踏むのは、

もちろん大事です。

 

でも普段の業務が忙しくて、つい形式的な業務で終わってしまっているケースもあるんじゃないでしょうか。

本来は、ケアワーカーの仕事は、

利用者さんの課題を抽出したり、解決できる支援をしたりすることが本質的なところですよね。

その点、仮説思考で考えることは相性がいいんです。

 

たとえば、

アセスメント表を完璧に埋めないとダメ!という方針の介護事業者さんもあるかもしれません。

しかし、実際の利用者さんのニーズに生かせる部分に本当にマッチしている情報を収集できているでしょうか?

あくまでアセスメントはその後のケア提供に生かす為にあります。

 

であれば、

たとえば仮説思考的なプロセスで、

①ところどころアセスメント情報は抜けている状況でも構わないので、現状の情報で課題の仮説、課題解決手段の仮説の2点を考える

②実行する上で必要な人や環境の手配、準備を行い、実際に利用者さんとやってみる

③利用者さんができること、続けられる状態になるまで、修正を繰り返す(形態、量、回数、内容など)。情報収集は、やりながら、課題解決までの精度を上げる材料にしていく。

という考え方もできます。

 

簡単にいうと、

「イメージして、やってみて、修正して精度を上げる。」

です。

 

ケアマネジャーさんの方であれば、これに近い考えをされている場合もあると思いますが、

むしろサービス事業者さん側にはさらに役に立つやり方です。

ケアマネジャーさんの場合は包括的にマネジメントする必要がある以上、情報を厳選して特化したスピード解決ができないケースもありますが、

サービス事業者さんであれば、そもそも特化した部分で関わりを担っているので、それぞれのニーズ解決に向けた動きを最優先にして取り組みやすいからです。

イメージして取り組むと考えが広がる

もちろん、

ケアでの関わりの精度を上げるのは、ただ一つコレをやればいい!というわけには、なかなかいかないことも多いです。

利用者さんの多様な価値観、その日ごとに変わる状況の変化、周囲の影響など様々なことが入り乱れて関係してくるからです。

 

利用者さんのニーズを解決を進行でき、

かつ状況が刻々と変わる利用者さんに合った方法をとるには、

何度も色んなパターンの打ち手を試してみて、改善を繰り返して精度を上げていくのは大切です。

 

さらに、仮説思考は精度を上げて深堀りするだけでなく、考え方を広げるきっかけにもなります。

たとえば、

「足腰弱くなって今は歩けないけど、また買い物に行けるようになりたい」

っていう方がいたら、

本人が求めている買い物って何でしょうか?

・洋品店?スーパー?都心のデパート?距離は?

・どれくらいの頻度?時期は?

・誰と?一人で?

・どうやって?歩いて?車?バスや電車?

など

ニーズを満たすために必要なことは?

・歩くなら下肢筋力は必要だし、遠出なら車なら座位が保持もできた方がいいかも

・金銭管理、文字の認識ができる

・付き添いの人、買うお店の人、行く途中で出会う人の理解

・主治医や専門家との相談、服薬の調整

・排泄の失敗対策、排泄トレーニング

・家族の意向との調整

など

あくまでこうしたイメージを展開してみて、後から

「これは今は違う」

「これは必要」

などやりながら厳選していけばいいです。

 

そして情報が足りなくなったら、

ただルールで決まっているアセスメントをとるんじゃなく、

ちゃんと本人の課題解決のために必要な情報のアセスメントをとるきっかけになるはずです。

 

逆に情報を集める方から優先してしまうと、

「どうせ出来ない」

「年とって足弱いんじゃ、危ないからダメだよ」

ということで終了することにもなりかねません。

 

仮説思考でイメージして本当に必要な問いや解決方法を先に考えててみて、

答えを探してみましょう。

まとめ

・仮説思考は、職員の業務の改善やケアの仕組み作りなどで役立つスキル。

・最大の強みは、結論を出すまでのの早さ。

・イメージして、やってみて、修正して精度を上げる。これを素早く繰り返す。

・多様なニーズに対する問いや解決法は、情報収集より先にイメージすることで本質を捉えてから、答えを出す。

 

今回は以上となります。

どこかでお役に立てたら幸いです。

読んでいただきありがとうございました。

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