【勤務表の作り方】介護施設のシフト作成について要点まとめて詳細解説します!

介護のリーダー向け

どうも、介護福祉士のなおべい(@naobei)です!

「シフト作成を頼まれたけど、作り方がよくわからなーい」

「希望休!人件費!残業削減!、上からも下からも言われてんてこまい」

「人員不足でシフトどーしよー」

こんな感じでお困りの方いませんか?

 

担当者になると、THE毎月の悩みですよね。

 

今回は、介護施設のシフト作成について要点まとめの解説をしていきます。

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シフト作りの大前提

まずシフト作成者が、大前提に考えなきゃいけないポイントがいくつかあります。

希望休聞いて現場が回るように組むだけでは、ちょっと抜けが大きいんです。

 

大前提ポイント

・サービス提供と業務が行え、安全に回る

・法やルールに沿って組む

・職員が気持ちよく働けるよう配慮をする

・余分な労働を抑え、人件費の無駄を出さない

このあたりを抑えておく必要があります。

 

誰でもシフト作成自体はできますが、

担当の人がポイントをしっかり抑えているかどうかでシフトの良し悪しはかなり変わってきます。

『利用者さんが喜ぶ』

『スタッフが働きやすい』

『経営が安定する』

これら全部に関わってきます。

作る前に知っておくべきこと

「これを知らないと作ることができない」

「作っても後で修正のオンパレード」

になってしまう、シフト作成の前に理解しておくべきことがあります。

 

それは、

各スタッフの働き方の理解

現場で必要な人員構成、条件の把握

希望休や有給の確認

です。

事前確認を考えると、希望休に目にいきがちですが、むしろ上2点の方がより重要です。

順番に解説していきます。

各スタッフの働き方の理解

シフト作成者はリーダーや二番手にあたる人が多いとは思いますが、

正社員からパート、看護師から送迎職員まで、

それぞれどんな働き方を希望しているかを理解しておく必要があります。

 

なぜか?

理由は、

・気持ち良くスタッフにパフォーマンスを発揮してもらうため

です。

 

『正社員だからパートだから最低限ここまではやってほしい!』

というラインはあると思いますが、

まずは本人の希望を確認しておきましょう。

 

たとえば、

1つは夜勤の考え方についてです。

正社員Aさん(夜勤は手当がつくし楽だから多くてもいい)

正社員Bさん(夜勤は身体がきついからやりたくない)

という人がそれぞれいたとします。

シフト作成時にこうした希望情報を知らずに「みんな公平に!」と夜勤回数を揃えた場合、

Bさんへの精神負担は大きくなります。


しかし、もし情報を知っていれば夜勤回数をAさん>Bさんの状態に調整することも考慮できると思います。

ぶっちゃけ夜勤回数が少ない不公平が出たとしても、Bさんには日勤の仕事でバランスをとってもらうことも可能です。

 

夜勤の例以外にも、

・どれくらい稼ぎたいか

・どんなスキルを身につけたいか

・どんな生活スタイルが合っているか

・休みの間隔はどんな形が理想か、連勤でも大丈夫か

など

もちろん全部叶えてあげるのは、厳しいですが、

シフト作成者が理解して、ある程度理想に近づかれば

「働くことを要求するシフトに納得感」が出ます。

 

必ずしも意向に沿うことは出来ないことや、

どうしてこういうシフトにするのかなど、

話す必要も出てきますが、

まずはスタッフそれぞれに希望を聞いてみましょう。

現場で必要な人員構成、条件を知っておく

現場で必要な人員構成については、2つポイントがあります。

①現場のサービスが実際に回せる人員数や構成

よく職員と利用者の比率を、1:3とか1:4が良いとかは聞いたりしますが、

ぶっちゃけそれは事業所によりけりです。

 

職員のレベルが高ければ、人員が少なくても安全にサービスは回りますし(限度はありますが・・。)、

逆に大変な利用者ばかりだと、いくら優秀な職員でも人員がいないと物理的に厳しい場合もあります。

自立度の高いリハビリデイと介護度の重い特養では状況が明らかに違いますよね。

 

シフト作成する職員さんであれば、現場の状況をよく見ている方が多いと思いますが、

・入浴日の時間帯、デイなら送迎の時間帯

・食事提供介助の時間帯

・朝夕の夜勤との引き継ぎ

など

時間帯で何人必要か、当日結局何人必要か

という流れで考えると、忙しい時間と暇な時間に適材適所で配置できるようになります。

②法律や行政によって決められている職員の配置基準

この点はルールとして守らないと、実地指導での注意や行政処分の対象となり得るので、注意が必要です。

ポイントは

・介護サービスとして決められた人員配置基準

・法や就業規則で決められた、労働時間や休憩時間数と休日数など

です。

 

人員配置については、

たとえばデイサービスなら生活相談員を毎営業日に配置、11名以上のデイなら看護師の配置が義務などがあります。

この基準については各自治体のホームページ、厚生労働省などで確認できます。


またそこで出てくる分かりづらい専従や常勤という考え方についてもいくつかルール化されています。

それぞれの考え方は以下の通り。

常勤・・・事業所で決めている常勤スタッフの勤務すべき時間数に、勤務時間が達していること

非常勤・・・事業所で決めている常勤スタッフの勤務すべき時間数に、勤務時間が達していないこと

 ➕

専従・・・勤務する時間帯でその職種以外の職務に従事しないこと

非専従・・・勤務する時間帯でその職種以外の職務に同時並行的に従事すること

例 週3の介護と生活相談員を兼務している職員の場合

→法定上は、非常勤かつ非専従としての扱いになる。

希望休のルールを明確にし、確認

希望休が通る通らないは、スタッフのモチベーションへ大きく影響します。

 

希望休のルール自体は、各職場ごとに決まっているかなと思います。

就業規則や運営規程に細かく記載していないから、希望休は作っていないというところもあるかもしれませんが、僕はあった方がいいと思っています。

休みが不定期になりやすい介護サービスのシフトでは、予め休める日が決められないとスタッフ自身で仕事以外のスケジュールが作れません。

「働くことこそ全て!」という人材を揃えない限り、やる気なくします。

 

ただ希望休を運用するに当たっては、ルールは明確にしておいたほうがいいでしょう。

・月で使える希望休の数

・役職や勤務形態で差を設けるかどうか

・同じ日で被ったらどう扱うか

・希望休の申請期間と締め切り

稼働状況や人員状況によって変動することもあると思いますが、

この辺りの方針はハッキリしておかないとスタッフは不安になります。

シフト作りの手順

前置きが長かったですが、ここからシフト作りの手順を説明します。

順番は、

①希望休(あるいは有給)や曜日固定パートの出勤を先に組む

②外せない会議やスケジュールが入っている人のピンポイント入力

③夜勤や送迎を仮に組む(両方ある場合は夜勤→送迎)

④配置基準のある職種から、日勤を仮に組む

⑤休みの回数やタイミングをバランスよく割り振る

⑥時間帯ごとに稼働状況と日毎の収支を考え、欠員や余分な人員がないか確認し修正

⑦どうしても不足している場合は、出勤可能な職員と相談。法人内で可能であれば応援を相談。

⑧スタッフの心情や負担を考慮し、出来る限り修正

⑨最後にコンプライアンスのチェックをし、完了

です。

手順①②

①希望休(あるいは有給)や曜日固定パートの出勤を先に組む

②外せない会議やスケジュールが入っている人のピンポイント入力

いきなり日勤などから入力しようとすると、後からスケジュールの調整が難しくなってしまいます。

なので、まずは予め決まっているスケジュールの入力を確定しましょう。

手順③

③夜勤や送迎を仮に組む(両方ある場合は夜勤→送迎)

スケジュールの入力後は、本格的にシフト入力をしていきます。

まず、はじめに決めないといけないのは、後から調整することが難しい夜勤です。

理由は、どうしても夜勤日と明けの二日分を考えなければいけないからです。

 

夜勤の振り方については、組織のやり方にもよりますが、

・日勤で対応の必要がある仕事の多い人は、回数を少なくしたり、タイミングを考える

・生活バランスを崩しやすい勤務なので、間隔やタイミングを考える。(女性職員自ら打ち明けてくれるなら、生理などのタイミングも考慮に入れる。男性が直に聞くのはセクハラになる場合があるので注意。

・夜勤明けの翌日に休みが必要かどうかは、人によるので各職員と確認する。(出勤可能であれば、シフトは組みやすいが、体調バランスを崩すのであれば休みにすべき)

この辺りはポイントになります。

 

デイサービスやショートステイなどでは、送迎も対応していることがあります。

送迎ドライバーが別個で雇用されているのであれば、そこまで難しく考えることはないですが、送迎ドライバーが介護職員なども兼務している場合は早めに決めておく必要があります。

こちらも夜勤と同様に後から調整が難しいです。

2名以上の体制で付きそい補助の職員については、日勤を決めるときにでも調整はできるので、まずはドライバーの勤務時間だけでも決めておきましょう。

手順④⑤

④配置基準のある職種から、日勤を仮に組む

⑤休みの回数やタイミングをバランスよく割り振る

配置基準に沿って、看護師や生活相談員、機能訓練指導員などの職種を自社のサービスがどういった条件を達成すればいいか確認しながら割り振っていきます。

その後、他の日勤職員をそれぞれの勤務形態や働き方希望に合わせてシフト入力していきます。

休みの入力もバランスを見ながら、割り振っていきましょう。

 

休みについては、事務的な対応の多い職員は土日や祝日に振ると労働時間の確保が上手くいきやすいです。

理由は、行政や病院の事務局、居宅介護支援事業所などの担当者の休みが土日祝日に多いからです。先方の出勤のタイミングに合わせたほうが対応がスムーズに回ります。

 

とはいえ、まだまだこの後も修正が出てくると思うので、

とりあえず、この段階までは仮組みで大丈夫です。

手順⑥⑦

⑥時間帯ごとに稼働状況と日毎の収支を考え、欠員や余分な人員がないか確認し修正

⑦どうしても不足している場合は、出勤可能な職員と相談。法人内で可能であれば応援を相談。

シフトの大体の仮組みが出来たら、

はじめの方の前文でお話しした大前提の

サービス提供と業務が行え、安全に回る

・余分な労働を抑え、人件費の無駄を出さない

を考え、修正していきます。

 

ぶっちゃけめんどくさい作業です。

でも、ここが一番大事です。

 

やり方は、

まず、一日ずつ朝、昼、夕とそれぞれの時間帯ごとに、どんなメンバーでどれくらいの人員数になっているかを、予定している利用者人数とスケジュールを照らし合わせて、不足や余分になっている時間を洗い出します。

次に、その不足している部分や、余分な人員を割いてしまっているところを調整していきます。

 

いくら調整しても不足が出てしまう場合は

・残業予定でシフト入力

・出勤可能職員と相談

・法人内での応援要請、求人対応。

が必要になります。

 

この段階でのポイントは、

利用者の稼働状況に合わせて、職員人員や構成を考えることです。

・利用者の人数

・利用者の大変さ

で必要な人員が変わるからです。

 

利用予定表などはシフト作成する段階には一緒におよそでもいいので主力しておき、

照らし合わせていきましょう。

各職員の給与情報を同時に管理している方であれば、人件費を算出しておくのもオススメします。

これをするかどうかで、収支の無駄やサービスの対応状況がかなり改善出来たりもします。

手順⑧

⑧スタッフの心情や負担を考慮し、出来る限り修正

ここまできたら、あと少しです。

 

「人員不足の状況でカツカツの状況」

「この日このメンバーで大丈夫か?」

を乗り越え、スタッフさんの負担をちょっとチェックしておきましょう。

休みを決めるときにも多少考えながら入力していたとは思いますが、

・連勤

・入浴などの身体介助負担の大きさ

・夜勤や残業の多さ

など

できる限り配慮していきます。

 

ただ、応えられないこともやはりあると思います。

 

僕自身も人員不足状態のときに作成していて、負担を公平にしたいけど、ケアやスケジュールを考えると上手く出来なかった経験がありました。

そうした時は、その都度理由を説明して、納得を得られるよう努めました。

シフトを職員さんに発表する際、不満が出そうなところは、どうして出来なかったのかをできれば説明したほうが、お互い変にストレスを抱えなくて済む可能性が高いからです。

それでも納得を得られないこともあるかもしれません。

しかし、ここまでやっていたらシフト作成者としての気遣いは十分果たしています。

これ以上は他のスタッフへ気負う必要はないと思います。

 

あとは、

シフトを作成していると、どこにどんな人材が足りないか分かると思うので、

早めに採用に繋げられるよう人事権限を持っている担当と相談しましょう。

手順⑨

⑨最後にコンプライアンスのチェックをし、完了

シフト作りの仕上げに、一通りチェックしましょう。

作ったけど、思わぬミスを発見したりします。

 

「夜勤が抜けてる」

「この時間帯に見守りがいない」

なんてことが慣れてからもあったりします。

(夜勤でシフト作りしてるとあるある・・・。)

 

そして、最後にコンプライアンスチェックです。

・法や就業規則の範囲内の労働になっているか

・サービスごとに決められた人員配置基準をクリアしているか

ここまでやったらシフト作りは完了です。

お疲れ様でした。

終わりに

いかがでしたでしょうか?

 

現場のケア、職員の働きやすさ、経営面を考慮に入れるのは、

シフト作成に求められ、どれも抜かして考えることはできません。

 

もちろん、完璧と思われるシフトを作っても、

スケジュールの変更が急に出ることがあるのが介護の世界。

しかし、1歩づつの予定と調整を怠らないだけでも、状況の良し悪しは大分変わります。



最後にピンポイントの注意点を挙げておくと、

僕自身色んな事業所のシフトを見てきた経験はあるのですが、

その中でも経営的な分析までして作成している事業所は少ないです。

 

人件費は事業所運営において最大のコストになり得るところ。


現場の職員でもしっかり見ていく必要があります。

やり方自体は本記事で、まとめましたが、

ケアとコストカットの両立については別の記事で紹介したいと思っています。

 

今回は以上となります。

読んでいただきありがとうございました。

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