介護の勉強をしていると難しい原則に色々触れる機会があると思います。
しかし、
「正直、現場の研修や資格試験で勉強はしたけど普段は意識しないなー」
って方も多いのではないでしょうか。
あるいは、
「はじめて介護の仕事をするけど、覚える事たくさんで、どれがポイントかわからない」
「新人指導任されたけど、何を教えて上げれば良いか」
って人もいるかなと思います。
今回はそんな方向けに、
現場実務で介護をする上での大事なポイントは何か?
という視点で4つご説明します。
①安全で安楽なケアの実施
②本人を尊重する
③自分で出来ることを後押しする(自立支援)
④効率良くサービスを行う(サービスの分配)
安全で安楽なケアの実施
まず、安全と安楽の違いってなんでしょうか?
安全=危害または損傷・損害を受けるおそれのないこと。危険がなく安心なさま
安楽=心身の苦痛や生活の苦労がなく、楽々としていること。また、そのさま。
https://kotobank.jp コトバンクより
意味は似ていますが、
安全なケアとは、利用者の身体に危害を加えるおそれがないケア。
安楽なケアとは、利用者の精神にとって穏やかでいられるケア。
の事を指します。
たとえば、
利用者からするとお世話を受けている身とはいえ、無理な身体介助で痛みが出るようなツライ思いをするのは嫌ですよね。
やっぱり、ツラくない方法でケアをしてもらった方が職員さんに安心して対応を任せられると思います。
ではどうするかというと、
・慣れた環境や長年の生活習慣などを継続できるようにする
・不安や危険を予測し、出来る限り排除する
・福祉用具やボディメカニクスを活用して、介助をする
といった方法をとる事が重要です。
本人を尊重する
日本国憲法13条で、「個人の尊重」については明記されています。
日本国憲法13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
若くて元気なうちは、誰かに頼らなくても個人として意思決定をしながら生活は可能かもしれませんが、
高齢や障害になり誰かのお世話なしでは生きていけないようになると、環境や身体的な要因などで、自分で意思決定することが出来なくなっていきます。
そのため介護者はケアの中で、
・言語的、非言語的問わずコミュニケーションを本人と行う
・事前説明と同意を本人に確認する
・本人による意思決定をしてもらう
などを行なっていきます。
あくまで、お年寄り側の視点に立って
「お年寄り本人」の意思決定や気持ちを尊重する
というところが介護職としてのケアでは大事なところです。
自分で出来ることを後押しする
介護する側は、
お年寄りの出来る能力を引き出し、自分でやりたい事やできる事は本人の力でやってもらうようにする事
が大切です。
よく「残存能力を活用し、自立支援に繋げよう」と言われるところですね。
これがなぜ大切か?というと、
自分で能力があるのに、人にやってもらう事が当たり前になると、
「出来ていた事が失われ段々と出来なくなってしまうから」
です。
頭も身体も使う機会がないと、どんどん衰えていきます。
動かないお年寄りほど、あっという間です。
ただ、お年寄り側からすると、
以前は出来ていたことが上手く行えなかったり、行なっても遅くて疲れるなどが原因で「頑張って出来る事はしよう!」とするモチベーションも低下します。
助けてくれる人がそばにいると、つい甘えの気持ちが出てしまう事も。
そんな気持ちも理解してあげながら、
・お年寄りの意欲を維持できる環境づくりや声掛け
・「出来ない部分はお手伝いするが、出来る部分はやってもらおう!」とする姿勢
で関わるといいと思います。
効率良くサービスを行う
「一人一人のお年寄りに合わせてゆっくり介護出来たらいいのになぁ」
と考えていても、
その他のお年寄りへのサービスや業務もある為、
みんなに行き渡るように効率良くケアを行う必要があります。
「一人の入浴に時間を使って、他の誰も入れなかった」
みたいのは、効率が悪すぎですよね。
自立支援と効率性を考える事は、
ぱっと見は相反するようにも思えますが、実務ではその日の人員状況やスケジュールなどにより、バランスをとっている事の方が多い気がします。
バランスをとるポイントは、
・サービスが必要な量、必要な利用者に行き渡る仕組みを作る
・準備や計画をしてアクションを効率的に行う
・職員教育を行い、支援ができる人を増やし、分担して取り組む
・出来る限り自立支援や個人の尊厳を妨げない
まとめ
利用者と関わる上で、介護職が覚えておくべきポイントをまとめてみました。
①安全で安楽なケアの実施
②本人を尊重する
③自分で出来ることを後押しする(自立支援)
④効率良くサービスを行う(サービスの分配)
これらは利用者を対象にした内容でしたが、
実は職員にも大きく関わる部分も多いです。
例えば、安全で安楽なケアをする為にボディメカニクスを学んで身体介助をする事は、職員の腰痛予防や心理的負担軽減に繋がったりします。
逆に、本人の尊重をする視点を忘れ、事前説明なしに入浴介助しようとして、怒らせてしまい結局その後の対応で時間のロスになってしまったりするケースもあります。
やっぱり新人さんからベテランさんまで基本は大事にしたいですね。
今回は以上となります。
読んでいただきありがとうございます。
少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。