介護職が知っとくべきオリゴ糖の知識

介護職の現場改善

介護の仕事をしていると、

「便秘気味で困っている方がいる」

「甘いもの好きだけど糖尿病持ち」

なんて人とよく出くわします。

 

高齢の方であれば、ほとんどの方が薬を服用したりして、身体の調整をすることも多いですが、

・腸の働きを整え、便秘を解消できる

・甘味があるけど、糖尿病の人でも食べれる

そんな食べ物があります。

「オリゴ糖」です。

 

今回は、そんな便利なオリゴ糖に関する知識を解説していきます。

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オリゴ糖とは?

オリゴ糖は、

糖質の中で、糖の最小単位である単糖が2個から10個程度結びついたものを、少糖といいます。一般的には、3つ以上の糖が結びついたものをオリゴ糖と呼ぶことが多いようです。

低消化性で、整腸作用や腸内細菌を増やす作用が知られています。

オリゴ糖e-ヘルスネット(厚生労働省)より

オリゴ糖の種類

一言にオリゴ糖といっても、いくつか種類があり、効果が微妙に異なります。

ここでは、一般的に普段の食事で摂取したり、市販での売っていることの多い種類のオリゴ糖をご紹介します。

【ラクトスクロース(乳糖果糖オリゴ糖)】

→カロリーはショ糖の半分。腸内のビフィズス菌を増やし、腸内環境の改善、整腸作用の効果がある。また、腸内のpHを下げることでカルシウムの吸収を良くする効果も特定保健用食品(トクホ)の効果を認められている。

 

【フラクトオリゴ糖】

→アスパラガス、ニンニク、ゴボウ、タマネギ、はちみつなどにも含まれている。 ビフィズス菌の栄養になり、腸内細菌を増殖させ、お腹の調子を整える効果がある。1日30グラム程度であれば安全だが、摂りすぎは膨満感やお腹を緩くする原因になる。

 

【イソマルトオリゴ糖(分岐オリゴ糖)】

→まろやかな甘味、加工食品の日持ち効果があり、みりんや清涼飲料水などに使われている。ビフィズス菌や乳酸菌など腸内細菌を増やす効果があり、お腹の調子を整える。虫歯菌の不溶性グルカンの合成を抑制する効果もある。

 

【ビートオリゴ糖(ラフィノース)】

→その名の通りビート(甜菜)から精製される天然のオリゴ糖。上品な甘味がありつつ、ビフィズス菌増殖効果がある。低カロリーで、加熱安定性も有している。

オリゴ糖について-Wikipediaより

オリゴ糖の効果(メリット、デメリット)

それぞれ構造や種類が微妙に違うオリゴ糖ですが、もう少しわかりやすくほとんどのオリゴ糖に期待できる効果をまとめてみました。

(メリット)

・ビフィズス菌の栄養になり、腸内の環境を改善する

・腸に吸収されにくいので、糖として吸収されず、血糖値が上がらない

・砂糖が虫歯菌の栄養になるのに対し、オリゴ糖は虫歯菌が好まない構造になっているので、虫歯菌の栄養になりにくい

 (デメリット)

・食べ過ぎる(一日20g程度以上)と、

おなかが緩くなる、膨満感、ガスが溜まる、下痢、むくみなどの副作用の可能性があるという報告もある。

オリゴ糖のすごいところは、メリットが大きいのに対し、デメリットが食べ過ぎに注意することぐらいなところです。

僕自身もオリゴ糖を普段から摂取しているんですが、腸の働きは改善した実感があります。一方で確かに食べ過ぎると膨満感などは出てくる感じはあります。

普段の食事があまり進まない人の場合は、少量にしておいた方がいいかもしれません。

オリゴ糖が含まれている食べ物

<野菜類>

玉ねぎ、きゃべつ、ごぼう、アスパラガス、じゃがいも、ニンニク、トウモロコシ、いんげん

<果物>

バナナ、りんご

<豆類>

大豆、あずき

介護のどんな場面で役にたつか?

オリゴ糖の凄さはここまでで、なんとなく理解していただけたと思います。

では、具体的に介護ではどんな風に生かせるのか考えてみます。

自然な排便を呼ぶ

よく介護施設などの現場では、

便秘気味の方に対して、座薬を入れたり、浣腸をしたり、腹部マッサージをしたりすることが多いと思います。ただ、薬や処置をするのは副作用があったり、何よりも高価だったりします。

反面、オリゴ糖の適量摂取であれば、副作用なく腸内環境を改善し自然排便を促せる可能性があります。

糖尿病や血糖値の高い人にも使える

オリゴ糖は、人の消化酵素で分解されないので、胃や小腸で分解されずに、大腸までいき体内の腸内細菌の栄養になります。

体内に吸収されにくいので、インスリン(糖をエネルギーに変換するホルモン)を無駄に消費せずに済むため、炭水化物や砂糖を摂取したときに起こる血糖値の上昇を防ぐことができます。

砂糖ほどの甘味はないですが、ヨーグルトやコーヒーなどでは十分感じる程度の甘みはあります。糖尿病の人にも使えるのは、良いところですね。

皮膚疾患や認知症の症状改善

腸内環境が悪いと、便秘だけでなく、そこから付随して、

皮膚疾患や認知症の周辺症状(BPSD)に影響が起こることがあります。

高齢者でなくとも胃腸が荒れていると、イライラしたり、思わぬ行動に出てしまうこともあったりしますよね。様々な疾患や認知症などの症状のある方は、余計に影響を受けます。

ときどき介護現場では、認知症の方の徘徊をとめようと声かけを工夫していてもちっとも落ち着かないなんてケースがありますがが、もしかしたら腸内環境が悪化していて排便のコントロールが上手くいっていないことが原因の一つにあるかもしれません。

そうならないよう予防するのにオリゴ糖は効果的です。

 

オリゴ糖の整腸作用の効果は、単純に便秘以外の問題改善にも効果を発揮する可能性があるのは、知っとくと便利です。

安価で手に入れやすい

オリゴ糖関連の製品は、

シロップタイプや粉末タイプで普通にスーパーなどでも売っています。

甘味の観点で言うと一般的な白砂糖と比べると若干高めですが、

整腸作用を考えると便秘薬や整腸剤よりは遥かにコスパはいいです。

安いものだと、1kg300円〜1000円ほどで手に入ります。

オススメの食べ方

オリゴ糖を摂る目的としては、

腸内環境の改善効果はやはり大きいです。

 

最大限にこの効果を発揮するためには、

発酵食品や食物繊維と一緒に摂る

のがオススメです。

互いに相乗効果が期待できます。

 

たとえば

①ヨーグルト

→オリゴ糖をそのままかけてもいいし、オリゴ糖が含まれるバナナやリンゴ、ハチミツを加えるのま効果的。

②味噌汁

→味噌にはオリゴ糖が含まれている。水溶性食物繊維のきのこ、海藻、ごぼうなどと組み合わせると、相性が良い。

 

オリゴ糖は、耐酸性や耐熱性、水に溶けやすい性質もあるので、食べ物や飲み物に混ぜて提供するのにも使えるのは便利なところです。

ちなみに摂取量の目安としては、1日10g程度(小さじ二杯くらい)ですが、個人差がありますし、他の薬も併用している場合は医師とも相談してコントロールしてみると良いです。

終わりに

・オリゴ糖は腸内環境を改善する効果、血糖値を上げずに甘みを感じられる効果がある。

・虫歯菌の栄養源になりにくい甘み成分。

・食べ過ぎはお腹がゆるくなるので注意。

・食物繊維と発酵食品にオリゴ糖を加えると、さらに効果が高い。

今回は、オリゴ糖に関する記事でした。

介護施設の中には、オリゴ糖を使った排便コントロールを実施している事業所もあると思いますが、在宅介護では知らない人も多いと思います。

 

高齢になると、食物繊維のある食べ物が良いことが分かっていても固くて食べられなかったり、

糖質制限が厳しくて甘いものは食べられない人もいますが、

上手にオリゴ糖を活用すれば、方法は広げられるんじゃないでしょうか。

そんな可能性を感じました。

 

読者さんのちょっとでも参考なれば幸いです。

記事は以上となります。

読んでいただきありがとうございました。

【参考記事】オリゴ糖はどうなのか?

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