介護施設でオンラインの面会をする方法について解説【各ツールのメリット・デメリットを比較】

介護職の現場改善

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染対策のため、介護施設で利用者との面会を禁止とする施設が増えています。

介護現場にいると利用者さんや、ご家族から、

「面会で会えないつらさ」の声を直に聴きます。

 

ご家族の中には、禁止前は毎日のように面会していた方もいますし、

利用者さんも何より、家族と会えることを楽しみにしていた方は多いです。

そんな機会がなくなってしまったのは残念なことです。

 

どうにかする事を考えたら、

やはり『オンラインのビデオ通話でコミュニケーションを取れるようにした方がいい』と思います。

導入を検討するにあたっての具体的な方法を解説していきます。

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オンライン面会のメリット・デメリット

メリット

オンラインで面会が出来るようになれば、直接会う事は出来ませんが、

実際に顔を見て会話をすることが出来るようになります。

 

具体的にコレで何が変わるかというと、

・表情や会話から現在の状態がお互いに分かる

・施設の職員から聞く情報より、実際に話す情報の方が共有内容は確実

・顔を見て面会できることで、お互い安心する

・繋がりのある人同士での、かけがえのない機会になる

・離れた家族とも複数名参加で遠隔テレビ会話も可能

・オンラインの活用をすることで、職員がやり方を学べ、将来的な施設のIT導入を進めるきっかけになる

こんなことが考えられると思います。

 

現状、面会がいつ可能になるのか分かりません。

面会禁止期間中に利用者さんの容態が悪くなり、会話や様子を見る機会がなくなるケースも出てきています。

 

そういった意味でも、

たとえモニター越しでも顔を見て話せる機会を持てることは、かなりの大事だと思います。

デメリット

一方で、施設でオンライン化するにはデメリットとなる課題もいくつか出てくることが予想されます。

・機器の使用に関して、職員の対応が必要になる

・職員がやり方を理解しなくてはいけなくなる

・オンライン面会予定が殺到した場合に職員対応が追いつかない可能性がある

・自粛解禁後に、一部家族は施設に来訪しなくなる可能性が若干あり

最も危惧するのは、現状でも忙しいのに職員の負担が増えてしまう可能性があるところでしょうか。

・覚えること

・環境準備

・付き添いや説明などの対応

の負担が増えるのは、間違いないです。

施設の規模によって、負担の重さが変わるのでその点の兼ね合いは検討が必要です。

 

経営的なコスト面も考えると、テレビ通話に対応していない機器がない場合は出費もかかります。

実際このあたりで躊躇している法人さんも結構あるんじゃないでしょうか。

オンラインで面会する手段

利用者⇄家族が直でやりとりするケース

利用者さんで、スマホやPC、タブレットを使いこなせてしまう方もごく少数ですがいると思います。

であれば、

施設側は介入せずとも、利用者と家族間でのやりとりが可能になります。

 

あとは施設側は所持や使用を認めるかどうかの問題です。

そうした方への使用に関しては、各施設でルールを設けたりしてると思いますが、

使いこなせてテレビ電話などを行っているのであれば、できる環境は維持してあげた方がいいと思います。

 

また、たとえ今はスマホ持っていなくても、面会禁止をふまえスマホを持たせようとする利用者家族も出てくることが予想されます。

ただ精密機器であることに変わりはないので、

破損や紛失時の取り扱いについては、事前に説明や確認はしておいた方がいいです。

施設が通話環境を準備し、オンライン面会可能にするケース

ほとんどの施設がここの検討だと思います。

 

基本的に家族間でビデオ通話の環境が構築出来るような人はごく少数に限られてしまいます。

そのため施設が、

オンラインでのテレビ通話をするのに必要な環境を用意する

必要が求められます。

 

・どんな準備が必要か

・どのようなツールを使えばいいか

・どのように周知をすればいいか

・導入にあたって何が問題になるのか

この辺りを考えておく必要があります。

以下で解説していきます。

必要な機器やインターネット環境の準備

・使用する端末機器

・インターネット環境

は必須です。

 

端末機器に関しては、

スマホ、タブレット、パソコンでWebカメラ機能がついていれば可能です。

スマホやタブレットは基本的についていますが、パソコンによってはついていない場合もあるので、別途外付けのWebカメラを用意する必要があります。

また画面の越しで会話することを考えると、

スマホだと利用者側からは見づらいので、画面が大きいタブレットやパソコンを利用した方が相手の様子が確認出来ていいと思います。

    

 

インターネットの環境に関しては、

どの施設もあると思いますが、家族の端末でもやりとり可能にしようとするのであれば、通信環境の準備を依頼する必要が出てきます。

ネットの通信環境としては、通信速度のあるWifiが使える環境であった方がいいと思います。また通信が不安定な環境でオンラインのビデオ通話を行うと、遅延や通信エラーが発生しやすくなります。

各ツールごとのメリット、デメリット、やり方

通信アプリの準備

ビデオ通話が使えるサービスは最近だと色々出ています。

・LINE

・Skype

・ZOOM

・Google Duo

・Messenger

など。


どれを使うかについては、ぶっちゃけ施設の規模や状況によると思います。

今回は、その中で導入しやすい3つのツールに絞ってご紹介します。

Skype(スカイプ)の場合

(利用イメージ)

個々にアカウントを持って、通話します。電話にテレビ機能がついたイメージ。

 

(メリット)

・写真画像や資料の画面共有も可能 ※パソコン同士に限定

・多人数のグループ通話が可能 

・ビデオ通話の老舗的なサービスで信頼性が高い

・無料で使える

・スマホ、タブレット、PC対応可能

 

(デメリット)

・個々にアカウントを作る必要がある為、個人情報の漏洩に注意

・お互いに事前にアカウントIDを教えあう手間がある

・使い方の説明が必要

・通信データ量が大きいので、お互いの通信環境によっては接続が不安定になることもある

 

(やり方)

①Skypeをインストールする。PCなら公式サイトから。スマホやタブレットは各OSごとにGoogle Play、Apple Storeでインストール。

②事前に個人でアカウントとなるIDを登録。相手のアカウントを教えてもらい、検索後に通話ができる。

LINE(ライン)の場合

(利用イメージ)

個々にアカウントを持って、通話します。電話にテレビ機能がついたイメージ。

(メリット)

・使っている人が多いので、使い方の説明が省きやすい

・ビデオ通話中に着せ替え加工をして、遊ぶこともできる

・無料で使える

・スマホ、PC、タブレット対応可能

(デメリット)

・個々にアカウントを作る必要がある為、個人情報の漏洩に注意

・お互いに事前にアカウントIDを教えあう手間がある

・過去にアカウントの乗っ取り事例もあり、近年は改善してきているがやや不安が残る。

・施設に頻繁に問い合わせを行う家族や関係者が出てくる可能性がある

(やり方)

①LINEをインストールする。PCなら公式サイトから。スマホやタブレットは各OSごとにGoogle Play、Apple Storeでインストール。

②事前に個人でアカウントとなるIDや番号を登録。相手のアカウントを教えてもらい、検索後に通話ができる。

ZOOM(ズーム)の場合

(利用イメージ)

SkypeやLINEとは違い、

主催者がWeb上に会議室を作って、オンラインで部屋に集まって通話します。

 

(メリット)

・ビデオ会議向けのアプリなので、写真画像や資料の画面共有も可能

・他人数でのグループ通話が可能

・有料版もあるが、無料版で十分

・部屋を作る管理者はアカウントを作る必要があるが、参加者はアカウントを作る必要がない

Web上の部屋への入室可能時間の設定、予約ができる

・録画、録音可能※有料版

・通信データ量が小さいので、接続が安定しやすい

・スマホ、PC、タブレット対応可能

・ホワイトボード機能があるので、タブレットなどであれば筆談も可能

 

(デメリット)

・テレワークの台頭により流行しているが、使ったことがない人も多く、使い方の説明が必要

 

(やり方)

①Zoomをインストールする。PCなら公式サイトから。スマホやタブレットは各OSごとにGoogle Play、Apple Storeでインストール。

②部屋を作る管理者はアカウントを作成し、Web 上に部屋を作る。

③日時の設定をし、指定のURLと会議室番号を通話参加者に別途連絡手段で伝える

④通話開催日時に合わせ、参加者は指定のURLにクリックするか、ZOOMのアプリから会議室番号を入力し入室する。その後、お互いにログイン状態になれば通話可能。

オススメの使い方

家族が施設に来てもらった際に別フロアにいる利用者と面会するルールにする場合

たとえば

施設1Fの端末から利用者が入居しているフロアへの端末にアクセスする

というイメージです。

家族に直接施設に来てもらう必要が出てきます。

 

アクセスの流れは、

施設端末⇄施設端末の使用になると思います。

この方法だと、

個人情報の漏洩リスクや通信環境の誤差も出にくいと思いますので、Skypeを使うことで、すぐ話すことが出来オススメです。Skypeであれば、操作は単純なので慣れれば職員が付き添わなくても対応できる利用者さんもいると思います。

 

施設の方の準備だけで完結するのであれば、

端末を持っていない利用者や家族にもオンライン面会は広げられるのはメリットです。

一方で施設に来てもらう必要があることから、人を集めてしまう要因にもなり得るので、感染対策も同時に行う必要が出てきます。

家族の来所なしで施設と繋がり、遠隔で面会するルールにする場合

たとえば

家族が家にいながら施設端末へアクセスして、利用者とテレビ通話する

というイメージです。

家族が施設に来なくてよくなるので、負担軽減や感染リスク防止になります。

 

アクセスの流れは、

家族の私用端末⇄施設端末の使用になると思います。

 

この場合は、私用端末を使うことになるため、

個人情報漏洩する恐れ、通信環境のトラブル、アカウント検索トラブルをふまえ、ツールはZoomの利用がオススメです。

面会時間の設定がアプリ上で決まるので、施設としても、家族としても直前で過度なやりとりせずスケジュール調整できる安心感はあります。

基本的にWeb上の部屋を作るのは、施設側が主催者として行えば、ご家族はアカウントを作る手間なく簡単に入室できるのも良いところ。

 

遠隔を想定した対応なので、近いキーパーソンだけでなく遠方にいる家族や親戚とも繋がって話すことも可能なところは夢が広がります。

ただ施設への来所を想定しない方法は、家族が端末を持っていないと、そもそもオンライン面会ができないデメリットはあります。

注意点

職員への周知

オンライン面会の手順は、複雑な設定は特に必要ないので

A4の用紙1枚程度にマニュアルを作って周知しておけば、どの職員も運用出来ると思います。

 

正直全然難しくないです。

ある程度自立度の高い利用者さんなら、覚えられるレベルだと思います

 

それよりも、最初は使い方が慣れない職員から反発があるかもしれません。

しかし、将来的にはITを活用するのは必要になってきます。

 

在宅のデイや訪問介護、訪問医療などはスマホやタブレットを使った運用は始まっています。その中には年配の職員も含まれていますが、業務で必要なスキルとして使いこなせています

使えることでのメリットや意味を理解してもらえるよう周知しましょう。

物品の消毒

・スマホ、タブレット、PC機器

・オンライン面会で使用する部屋

は必要になってくるので、

使用後のアルコール消毒

部屋の換気

十分注意が必要です。

 

機器や部屋は複数も用意することが望ましいですが、現実は難しい施設も多いのではないでしょうか。

1つの部屋で順番に機器を使っていくことになることもふまえ、その点の感染対策も考えておく必要があります。

面会時間の予約

面会が殺到してしまい、順番待ち状態になってしまうのはよくないです。

面会者が少ない施設であれば、特に問題はないかもしれませんが、面会の頻度が多い施設では、事前に面会時間を決めておくなどルールを設けておいた方がいいです。

 

職員の付き添いなどの対応も必要になることが予想されるので、

事前に情報共有できる仕組みも作っておくとスムーズに回せるんじゃないでしょうか。

終わりに

介護施設でのオンライン面会は、

・リーダーや導入の決定権のある人がやり方が分からず手が出せない

・初の試みで、どういったメリットやデメリットが起こりうるか予測がしづらい

というところで、

なかなか踏み出せない施設も多い気がしました。

今回の記事で参考にしていただけたら、幸いです。

 

『できれば、顔合わせの機会を作ってあげたい!』

という気持ちは多くの施設が持っていると思います。

 

オンラインは出来ないけど、報告書や写真などを作るようになった施設の話もいくつか聞きました。

 

けど、使えるツールは使ってみませんか?

 

やってみてウチの施設には合わないなと思ったら、他の手段を考えればいいと思います。

利用者、家族、職員の反応を、まずは見て考えればいいんじゃないでしょうか。

機器の準備に関しても、中古で安く手にいれることも出来る時代です。

 

若くて介護は頼りないけど、ITには強いなんて貴重な人材も発掘出来るチャンスかもしれません。

ITの使用が苦手なおばちゃん、おじちゃんでも今後の施設の未来を考えると、慣れてもらうチャンスにもなるかもしれません。

 

もしご家族の立場でも、出来れば導入してほしい希望があれば、必ずしも叶うとは流石に言えませんが、施設へ声をあげてみてください。導入のきっかけになるかもしれません。

 

今回は以上となります。

読んでいただきありがとうございました。

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