介護サービスを受けるには、超ざっくりいうと
①各市区町村への要介護認定の申請
②認定調査の実施と主治医意見書の提出
③審査会での判定後、要介護認定の通知
④ケアマネージャーと相談し、ケアプラン作成依頼
⑤必要な介護サービスの利用
というプロセスをとっていきます。
⑤の段階で、介護サービスとご本人(あるいは代理としてご家族)と契約や重要事項説明書の説明をしていきます。
その際にサービス側から関係者間で情報共有をしあう旨の説明が基本的にはされるかなと思います。
今回はサービス側〜家族間の情報共有について焦点を当て、お互いの情報を報告共有しあう意味と注意点について説明していきます。
あくまで双方向的な活用をする
・ケアマネジメントを行うケアマネージャー
・訪問看護などの看護師、理学療法士
・訪問介護などのヘルパー
・デイサービスなどの介護職員
・往診で来ているドクター
などが、家族あるいは他サービスと連携をとる為に連絡ノートや連絡ファイルなどを使って情報共有をしていきます。
ここで重要なのは、
ご家族が行なっているケアとサービス事業所で行なっているケアがどうなっているのかをお互い共有し、インタラクティブ(対話的、双方向性)な活用をする
というのがそもそもの目的としてあるという事です。
具体例
介護サービス側の報告としては、
・当日のバイタル(体温、血圧、脈拍、酸素飽和度など)
・サービス中の様子、サービス実施状況
・その他連絡事項
などが大体のサービスで基本的なところになります。
デイサービスの連絡を例に、双方向にご家族と情報共有するとどうなるかをみていきます。
①デイを利用した際の様子について
(デイサービスから家族への連絡)
→普段、傾眠気味だが、昼間は眠らず、活動的だった。隙間時間にもお好きな雑誌を
読めるようにしたら、眠らず過ごす事が出来た。
(デイの報告を受けての家での対応)
→自宅ではゆっくり過ごしてもらおう。自宅だとずっと寝てるから、デイの方法を
試してみよう。
結果・・・本人にとってはメリハリのある生活習慣で活動が行える。
②夏なのに家で水分を本人が飲んでくれない。
(家族からデイへの連絡)
→自宅にいる間、ほとんど水分を飲まなかった。声かけても飲もうとせず、
どうすればいいかわからない。
(家族からの報告を受けての対応)
→補水機会の確保をサービス内で対応。ご家族に良い方法を伝えられるよう仮説検証
する。担当ケアマネージャーより他サービスへの共有にも繋げる。
結果・・・大事になる前に補水機会を作れ、熱中症や熱発なく過ごすことができた。
①も②も家族と介護サービス間で情報共有をしあえた事で、結果対処出来たケースになります。お互いにポイントを共有しあう事で、早めに今本人に必要なケアを行う事が出来るようになります。
ですが、これらの報告が出来ていなかったらどうでしょうか?
①の場合は、日中の傾眠気味というのをそのままに、昼夜逆転や体力の低下させてしまう事もあったかもしれません。
②の場合は、水分取らず、熱中症で倒れてしまったり、命に関わる事態になってしまっていたかもしれません。
お互いに情報共有をする事で、介護サービス利用中と、自宅での家族のケアそれぞれの場で必要な対応がし続けられる状態にする事が報告しあう意味になっていくのではないでしょうか。
報告する際の注意点
ダメな報告の例
「〇〇様は、いつも通り、認知症の症状が酷く、何度も施設内を徘徊しておりました。」
以前ネットで見かけたデイサービスの連絡ノートのダメな報告です。家族や本人を悲しい気持ちにさせた上に、問題解決するためのきっかけにもなりません。
おそらくこれを書いた職員さんは介護記録のマニュアルによくある『事実をありのまま書く』というのを実践したのでしょうが、今回は記録ではなく報告です。
報告は、必ず相手がいる事を忘れてはいけません。
ここでは、上記の例を反面教師に報告の際の注意点をまとめてみました。
①利用者の周辺症状の酷かったというのみの報告だけでは情報が足りない。
②プロとしての専門的な意見として、原因の分析やその行動に対しての職員が行なった対応などを書く。上手くいった例、上手くいかなかった例どちらも検証結果として報告してOK。
③家族や本人が見た際の配慮をふまえて記入するべき。ネガティブな内容は記録として残るのは嫌がる方は多いです。場合によっては、別の手段や機会で報告する方法をとる事も大事。
特に本人が連絡ノートを見てしまうなどの場合は、認知症や精神疾患の症状や、排泄の失敗、人間関係のトラブルなどの報告はネガティブに捉えやすい部分ですので、出来たらあらかじめ関係者間で報告方法は確認しといた方がいいです。
④事業所内で記入ポイントなどをマニュアルなどで職員間で共有し、書き方がわからず適当に書いてしまう職員を作らない。
これらのポイントをふまえ、報告を受ける側の視点をふまえ記入していきましょう。
まとめ
・介護サービスと家族間で双方向の情報共有を行う。
・それが本人に必要なケアがし続けられる方法になる。・
・報告する際は、報告を受ける側の視点も忘れずに!
今回は現場のマニアックな部分の記事でした。
どこかでお役に立てたら幸いです。
読んでいただきありがとうございました。
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