どうも!介護福祉士のなおべい(@naobei)です!
僕自身はデイサービス出身の介護職なのですが、以前複数の介護事業所で集まって合同のレクリエーションを企画した事がありました。
よく事業所の写真紹介でそういった取り組みをされている施設は見かけますが、
実際に実施するにあたってどれくらいのハードルがあるのか、どんなメリットがあるのかの視点で語られている事は少ない気がします。
『あの事業所の取り組みいいなぁ。けど、ウチじゃ無理な気がするぁ』
って思う事もあるんじゃないでしょうか?
理由は、
・やり方がわからない。
・法的に難しいんじゃないか。
・コスパに合わない気がする。
・その点が障害になったりしてませんか?
今回は僕自身企画リーダーとして取り組んだ事例を元に、実施までの手法を公開していきます。
ちょっとでも参考にして頂けたら幸いです。
合同のレクイベントをするとどうなるの?
僕自身レクのイベントは色々実施してきたんですが、
過去に複数事業所参加での『文化祭』を実施したことがあります。
今回はその事例を元に解説していきます。
やって良かった事
わざわざ合同でレクリエーションをやってみて良かった事は、
・利用者の活動意欲が向上、新しい発見
・職員同士のモチベーション、団結力が向上
・イベント実行委員のリーダーシップ向上、成長
・事業所のPRに繋がった
他にも良かった点はありますが、主に感じたところでこれら4つが大きかったです。下記で詳細解説していきます。
利用者の活動意欲が向上、新しい発見
僕が企画した文化祭では、
『職員がサービスを提供して楽しんでもらうのではなく、利用者自身にスポットが当たる取り組みにしよう』
というテーマでイベントを行いました。
このテーマをベースに実際の活動内容として、
・のど自慢や芸を発表するコーナー
・作品の展示スペース
・賞状付きのコンテスト化
を入れていきました。
それまでは、通常のレクでなんとなく毎月のカレンダー工作をするとかはやっていたわけですが、イベントを通して
利用者本人が自分のアピールする場が出来た事で変化が起こりました。
本格的に作品を作ったりする方や練習をしようとする方が出てくるようになったんです。つ
例えばある事業所では今までぼーっとしていた方が「急に動き出したんです」という話を職員から聞く事ができました。また、その他の事業所でも利用者の意欲が上がったり、新しい一面の発見に繋がっていくエピソードが次々と出てきました。
もちろん、全員が全員そうなったとまでは言えませんが。
少なくとも効果的に『頑張ろう』という気持ちを生むきっかけになれたんです。
職員のモチベーション、団結力アップ
合同のイベントをする事が決まって、すぐ職員みんなから理解が得られたかというと、そんな事はありません。
「忙しいのに面倒な事考えやがって・・・。」
みたいな空気感の方が始めは強い印象でした。
しかし、利用者にスポットが当たるように実行委員の職員に率先して関わってもらい、徐々に利用者が文化祭の準備で作品作りや練習し始めると、協力してくれる職員が出てきました。
『利用者がやるなら、やろっか。』
『やるなら、ちゃんとやろう。』
そんな空気感に段々となってきました。時間が経つにつれて、やる気を出し始める職員が徐々に出てきたのです。
また、イベントのテーマはあくまでも利用者にスポットを当てるという主旨にしていましたが、職員が作るイベントスペースも企画に入れていました。
・盆栽アート教室
・楽器教室
・メイクや衣服のコーディネートしての記念撮影スペース
・駄菓子屋さん
など。
利用者が頑張っているなら、自分らがやる事も頑張らないとという意識にもなったんだと思います。
こうして、職員と利用者どちらも協力しながら楽しみを見出すイベントにしていきました。
イベント実行委員のリーダーシップ向上、成長
イベントをやってみて後に起こったのは、実行委員に選ばれた人の成長です。
実際ほとんどのメンバーが数年後に後の管理者や管理者候補になるという状態になりました。単に委員会や研修で人を集めて何かやっても、なかなかここまでの結果は難しいんじゃないかと思っています。
言ってしまえば、合同レクはレク行事の一環のイベントでもあるんですが、
実行委員一人一人に役割と責任があり、それに伴い他の事業所の管理者や先輩にも指示を出す必要が出てきます。
つまり、イベントを通して普段の業務と違って自分たちで考えてマネジメントを学べる環境に自然となったんです。
僕自身も、
・介護への楽しさの分かち合い
・マネジメントの練習
を実践して、合同レクでの文化祭の成功という結果を出せたことで、
自分の中でやれる自信をつけることが出来ました。
事業所のPR
在宅サービスのデイ事業所を集めて実施した企画でしたので、営業活動の一環としての側面もこのイベントに持たせました。
単に利用者に喜んでもらう為だけのイベントにしてしまっては時間と費用の規模が大きすぎるのです。
もちろん会社の稟議が通す為でもありました。
僕自身も経営判断として、時間と費用のコストを支払っているのに、効果の期待が出来ないのであれば、却下するのは当然だと思います。
けど、結果は大成功。
・職員の成長
・利用者の意欲促進と活動量向上
・珍しい取り組みによる差別化
・地域の人との繋がるきっかけ
というところで、利用者本人だけでなく、家族やケアマネジャーさんからも良い評価を受けることにも繋がりました。
また、地域密着型サービスに類する事業は運営推進会議の実施が義務づけられていますが、こうしたイベントの企画は法で意図されている『地域交流』の一環にもなります。
やるまでにハードルと感じた事
良かった気持ちの方が僕個人としては強いですが、やはりやるに当たってのハードルになった部分も上げたいと思います。
良かったエピソードはお腹いっぱいの方もいると思うので笑
・企画責任者となるリーダーが重要過ぎる
・介護保険のプラン上、折り合いをどうするか
・人員があまりに不足していると難しい
・拒否のある方、体調不良者、離設リスクのある方へどう対処するか
他にも細かな注意点はありましたが、対応を綿密に考えたのはこれらの点でした。
企画リーダーが重要過ぎた
イベントの企画リーダーに手を上げて僕自身が望んだんですが、初め考えてた以上に苦労しました。他にイベント実行委員が10名近くいたんですが、皆んな会議でやる事を決めたはずなのに動かない。進捗確認すると終わってない、やってないという事が多発しました。
なんでやねん!
と思いましたが、今思えばリーダーである僕の本気度がイマイチ伝わってなかったんだと自覚しました。
そこからは積極的に資料共有や連絡を取りまくり、一人二人と徐々に僕と同じ本気度に近づいて行動するようになってくれました。
・本気になる覚悟を持つ
・覚悟を行動で見せる
そうしないと誰もついてきてくれないというのをマジで身にしみましたね。
これは後にデイの管理者をやる際も活きました。
介護保険法上の折り合いをどうするか?
介護保険との折り合いについては、良さそうな取り組みをしている事例なのにあまり触れていない事が多かったりしますが、気になる方の為にあえて触れます。
通常デイサービスでの利用者の過ごし方は、ケアプランに基づいた通所介護計画書があった上でのサービス提供が基本です。
これについて、管轄の行政によって考え方の裁量が異なっているのが、厄介なところです。例えば、東京では外出レクはOKですが、神奈川ではNGみたいな事例は実際あります。これを無視して勝手なサービスをしてしまうと、実地指導の注意、報酬返還や事業停止命令などペナルティを受ける場合もあります。
なので、自分達で良い取り組みと思っていてもこの点は十分に確認して対応すべきです。
僕らが合同でやった文化祭は都内の公民館のホールを借りて行いました。
いわゆる外出レクに相当するものに近いです。
対策としては、
・ケアプラン、通所介護計画書にご家族の同意のもと外出も含めた文面を入れておく。
・直接行政に企画趣旨を伝え、可能かどうか同意を得ておく。
・別途参加利用者に関しては、参加申し込み書を作成し署名・捺印を得る。
ちょっとやり過ぎかもしれませんが、ここまで全部クリアしているのであれば問題ないです。
で、ここをクリアするにはやはり、イベントの目的が重要だと思います。
僕らの場合は文化祭の目的を、「単に楽しませるではなく、利用者にスポットに光を当てて、何か意欲的になる行動のきっかけにしたい」その為にやる。
というのを強調した結果もあり、各所の同意を得る事に繋がりました。
注意する点としては、行政の見解に対して駆け引きはせず、早めに主旨をはっきりさせた上で確認をした方がいいです。後で無理と言われても無理。という状態になるのはリスクです。また行政の回答は必ず記録はとっておきましょう。
あとは、サービスとして保険外サービスとして実施できるのであれば、制約が緩くなる部分はあります。それについても不安があるのであれば、行政に確認、その後関係各所に説明と同意を得るという流れをとるのがいいと思います。
人員不足をどうするか?
人員不足の課題が正直一番悩みました。
というのも、企画当初は人員がいてイベントが出来そうな状態でも、イベント当日まで期間が長く、当日人が不足する可能性を捨て切れないからです。
人員不足してのイベントは、事故や緊急のリスクヘッジや対応でもろに影響が出ます。
ではどうすべきかとすると、自事業所だけで完結して考えない事です。
・法人であるならば、応援の職員をできる限り頼む
・ご家族やケア関係者、職員の友人など含めお手伝いを頼む
・スケッター(https://www.sketter.jp)などワークシェアリングサービスで頼む
・SNSや自治会などで呼びかけ、ボランティアを募る
実際、僕が実施した時は上2つのアクションでなんとかなりましたが、今はSNSやサービスを使った方法でも十分対応可能だと思います。こういう時だからこそ、どんどん活用していきましょう。
自事業所の人員については、シフト作成で対応できると思いますので、出来るだけ勤務してもらえるよう職員に理解してもらい、シフト作成担当者ともしっかり相談する事は必要です。
拒否のある方、体調不良者、離設リスクのある方の対処をどうするか
まず、拒否や体調不良者、離設リスクのある方の対策としては、
・自事業所で通常通りに過ごせる状態も残しておく
・ナースの同行、事前に会場近くの近隣の救急対応病院を調査しておく。
・離設リスクのある方は事前に顔と名前の把握をしておく。
・会場の出入り口使用は一箇所にし、見守り確認できる職員を複数名おく。
こうした対策を事前に家族やケアマネにも説明しておくと理解も得られるので尚良いです。
リスク対策は細かいところまで詰めておく事でイベントの成功率は格段に上がります。やり過ぎな事はないです。
ただし、対策の際にも注意点もあります。
例えば顔と名前の把握する事で離設などにリスクヘッジをしようとしたとして、写真などで情報共有してしまうのは、別法人と含めてイベントを行う場合、個人情報保護法に抵触する可能性があります。
どういった手段で事前にリスクを減らすかは、個別にしっかり考えておくべきですね。
合同レクを成功させるためのやるべき事リスト一覧
ざっくり合同レクリエーションをする上でやるべき事をリスト化しておきます。
・運営実行委員のメンバー選出、リーダーの選出
・委員の役割決め
・会計処理全般
・企画書の作成(イベントの目的、何のレクをやるか、費用対効果等について)
・イベントPR用の広告、同意書の作成
・当日のパンフレット(利用者用、職員用)
・道具や資材の準備
・装飾や音響、映像機械の準備
・会場の準備(下見、予約)
・関係各所へのアナウンス(説明、同意)
・当日の時間スケジュール決め(職員の役割などは細かく)
・緊急時に備えた準備(近隣病院のチェックおよび情報共有)
・実行委員以外の職員への働きかけ
各施設、各事業所によって他にも検討すべき点はあるかもしれませんが、ざっくりこれらの事項は取り組む必要があります。
まとめ
・利用者と職員へのモチベーションアップ効果は高くメリットが多い
・成長させたい職員がいる場合はうってつけ
・問題となるリスクは、事前に調査して対策を立てておく
合同でイベントをやると、『お祭り化』ノリの現象が強く出ます。
これが結構なエネルギーを出すきっかけになったりするんです。
そして、このきっかけで利用者さんへのケアの発見や関わり方の理解など色々なドラマに繋がったりします。
今回の記事で、もし「自分の事業所でやってみようかな」という人への一つの参考になれたら幸いです。
読んでいただきありがとうございました。
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