どうも!介護福祉士のなおべい(@naobei)です!
音楽には世界を変える力がある!( Music can change the world!)
と、かの作曲家のベートベンは言っています。
そして、
音楽には、『認知症のある方の活力を取り戻すパワー』もあるんです。
けど、
『どうやって?』
と考えてみるとシンプルでありつつも深い世界でもあります。
今回は、音楽を通して認知症高齢者の方へどうすれば活力を取り戻してもらえるかというテーマで解説していきます。
音楽は認知症の人に効果はあるのか?
医学的根拠は?
医学的根拠については、「確証のあるエビデンスはまだ無いものの推奨される」の段階であるようです。研究の質や量が効果を断定出来るほどデータが揃ってないところが大きいようです。
ただ全く効果がないとされているわけではなく、
大阪大学名誉教授の赤澤先生のよると、認知症のある人に対して不安の改善が中程度効果が見込める研究結果や軽度認知障害(MCI)のある方へ認知機能改善効果、健常者への認知症リスクの予防効果が示されているそうです。
【参考】https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmbe/Annual56/Proc/Annual56_30/_pdf
実際の介護現場は?
じゃ実際に介護現場はどうなのか?というと、
・ぼーっとしてた人が歌が始まると歌い出す。
・めちゃくちゃ怒っていた人が急にご機嫌よくなる。
・歌や歌手の話題でコミュニケーションが活発化する。
・眠っていた人の目がぱっちり開く。
など、こうしたケースは日常茶飯事で見られています。
認知症の周辺症状(BPSD)は、不安や恐れ、悲しみなどの感情から起こるとされていますが、まさに音楽を通して原因となる感情面に影響を与える効果はあると感じます。
また、認知症の高齢者だけではなく、支援をする介護者や介護職においても音楽での関わることによってマイナス感情の発散にもなり、お互いの関係構築にも一役買っている様子があります。
音楽で関わるにはどんな方法があるのか?
聴く
一番簡単なのは、音楽を聴いてもらう事ですね。
•テレビ、CD、DVD、YouTubeなどを使って、音楽鑑賞
•歌ったり、演奏しているレクに参加できるようにする。
など
今ではAmazonエコーのように自動音声認識で音楽をかける事もでき、楽曲をかけるのも多くの手段が取れるようになりました。
『聴く』事は、ご自分から積極的な参加ではなく、受動的な状態になりますが、
人の気持ちに訴えかけたり、知っている音楽の記憶から会話の話題に繋がったりする事もあります。
クラシック、ロック、ヒップホップ、邦楽、洋楽、演歌など様々なジャンルがあり、曲調も穏やか〜激しい曲まで色々ですが、
本人の好きだった曲や知っている曲だと良い反応が出てきます。そりゃ当然ですが。
合う音楽はホント人それぞれです。
年寄りだから、『演歌』とは決めつけず、洋楽やジャズの方が好きという方もいるのでご家族や本人に好きなジャンルの曲を聞いてみるのもいいかもしれません。
歌う
日本人はカラオケ文化を発祥させただけあって、歌う事が好きな方が多いです。
歌は残るんですよね。。。
認知症の方であっても同じです。
重度の認知症と判定が出てる人にも関わらず、思い出の歌はメロディが鳴ると歌えてしまうなんてケースも割とあります。
歌う事で発声の練習にもなります。
ただし認知症の方の場合は完璧を求めるには難しかったりもするので配慮が必要です。
一緒に歌うときのポイントは、
・歌詞を間違えても無理に指摘しない
・他と音程やスピードがズレても注意しない
・歌った後に記憶想起の声かけをしてみる
とにかく歌っているという事実を肯定的に受け止め、一緒に楽しめるようにするのがいいです。また、失敗しても上手に笑いにもっていく(バカにするという意味ではなく)というのも一つの手ですね。
そして、歌う事で脳の神経が刺激され、記憶領域と繋がる場合もあります。
「この歌はいつ頃よく歌っていましたか?」
など記憶想起の声かけをすると、そこから会話へとが広がる事も。
リズムをとる
簡単にリズムを取るには、手拍子があります。
あるいは、タンバリンや打楽器のようなもので音を出し、リズムを取る手段もあります。
高齢者の場合、身体能力が低下しているので実際の音は出ていなくても、身体で本人なりのリズムが取れていれば音楽的アプローチは成功です。
要は、
ノッていれば、オッケー!
です。
・手拍子
・頭や肩を揺らす
・足踏みをする
・声でリズム音を出す
・モノを叩いて打楽器音を出す
リズムといえば、
故・坂本九さんの「幸せなら手をたたこう」という歌は、まさに音楽の中にリズム参加の要素を入れた名曲ですね。
演奏する
演奏というとハードルが高そうに感じますが、割と手段はあります。
タンバリンやマラカス、太鼓だって立派な楽器ですし、
スウェーデン由来のブンネ楽器(https://www.bunnemusic.jp/instrument/)というのもあります。※高齢者や障害のある方でも演奏がしやすくなっている楽器。
また、最近ではタブレットやスマートフォンの台頭で、音楽アプリケーションも使えます。例えば、ガレージバンド(https://apps.apple.com/jp/app/garageband/id408709785)はミュージシャンも使っているツールでもありますが、音楽レクリエーションとしても十分使えるものです。
音楽アプリは基本無料で、色んな種類の楽器の音を指でタッチするだけで使えるのでオススメです。
もちろん、過去の経験から実際のピアノや琴、ウクレレ、ギターなどもしかしたら出来るかもしれない!ので、試してみる価値はあります。
踊る
身体を使って音を楽しむ
という事で『踊る』のも良い方法だと思います。
分かりやすいとこだと、
民謡の『東京音頭』『衣笠音頭』『炭坑節』など振り付けと音楽を入れて行っている事業所もありますよね。夏のお祭り行事になるとよくやったりしませんか?
実のところ、
音楽しながら、運動もやるというのは割と高度な活動ですが、認知症の方でも割とノッてやってくれたりもします。
本家の振り付けだと難しかったり、早かったりするので、オリジナルで簡単な振り付けにしてもいいかもしれません。
また、社交ダンスやタップダンス、ヒップホップ、ジャズなどをやっていたという方もいるので今の能力で出来るようカスタマイズして一緒にやってみると、さらに良いですね。
音楽で認知症の人と関わる際のポイント
関わる際のシンプルで大事なポイント
音楽で認知症の方と関わる際には、ただ取り入れるだけではなく、
押さえておかないといけないポイントがあります。
TEDのスピーチで認知症の方へどうやってアプローチするのか?について分かりやすい動画があるのでご紹介します。
スピーカーの満富俊郎さんは、音楽家でもあり、全国200カ所以上の介護施設で認知症の方への音楽アプローチを行なっている方です。
そのご経験から、効果的にアプローチする方法を分かりやすく解説してくれています。
ポイントは、
•利用者と近い距離感
•利用者と同じ高さの視線に合わせる
•利用者と顔を見て目を合わせる
で、音楽的アプローチをする事です。
営業活動や相談支援をされている方はアレ?と思われたかもしれません。
これらの技術はよくソーシャルワーカーの会話コミュニティケーションの基本として紹介されていますよね。
が、
音楽でも使える技術なのです。
大昔の人類は、言葉がないときは音楽を通してコミュニケーションをとってた時代もあるそうです。鳥や昆虫などの生物は今でも音で意思の疎通をしていたりしますよね。
認知症の方は、混乱と不安感の世界にいます。
これらのマイナス要因を音楽を通して取り除く事が出来れば、生命力や記憶を呼び戻す一つのきっかけになります。
僕自身の経験
僕自身も介護施設でギターの演奏や歌をやったりする事があり、気をつけているポイントがあります。
それは、出来るだけ身近になるように音楽アプローチをするという所です。
例えば、ギターの演奏をする場合にステージを用意して、列で座っている利用者の皆さんと対面でやろうとすると、結構眠ってしまっている方も見られたり、落ち着かない人も出てくることがあります。
そこで、ステージ的な距離感で演奏するような体制は取らず、利用者さんと同じテーブルで同じ高さの椅子に座ってギターを弾くようにしてます。
また、ある時はギターの音色を操作するネックは僕が担当し、弦を弾くのを利用者さんにやってもらって二人でギターの演奏を一緒にやったりもしています。
『昔お琴やってたんだよ』って人なんかめっちゃ上手に弦を弾いてくれたりします笑
そうして今やっている音楽活動に対して、より身近に感じてもらいやすく、
・こんな近くで生演奏は嬉しいよと言ってもらったり
・歌えなくてもリズムで盛り上げてくれたり
・様子を把握できる距離感ゆえ、利用者のペースに合わせたゆっくりした演奏リズムにもしやすい
・例え職員が演奏や歌を間違えても笑いになる
などメリットが大きいです。
何より、
音楽を演奏している人を見てるだけという受動的な状態から、
次第に音楽に参加する能動的な人になってくれるんです。
『音』を『楽しむ』という言葉通り、
楽しみながら認知症の方に活を与えられるきっかけを作れるのは音楽ならではのパワーではないでしょうか。
楽しい → 出来る自信や喜びの知覚 → 生きる活力 → 認知症の周辺症状の抑制
になっている現場をたくさん見てきましたし、そうなると僕は信じています。
まとめ
・現場レベルでは、音楽による認知症の方への良い効果は目撃されている。
・音楽を通して、「聴く」「歌う」「リズムを取る」「演奏する」「踊る」と様々な手段でアプローチが可能。
・近い距離感、同じ高さの視線、顔を見て目を合わせる
今回は、音楽を通して認知症の関わっていくにはどうすれば良いか、というテーマで記事にしました。
最終的には、
カッコよく楽器が弾けなくても、歌えなくても、踊ってバカだと笑われても、
『一緒になって楽しんだ結果、介護する側もされる側も気持ち良くなれれば良し!』
だと思います。
初めて音楽を使って関わろうとすると、ちょっと恥ずかしい気持ちもあるかもしれませんが、ぜひやってみてください。
読んでいただきありがとうございました。
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