信頼関係を持って介護ができるようになる条件

介護の心理的技術

『地域』や、『多業種連携』などが介護サービスでキーワードになっています。コミュニティやチームで高齢者や障害者を支えるという考え方が主軸になってきているからですね。

そこではお互いの信頼関係の構築がより重要になっていきます。

今回は、『周りから信頼されるようになりたい!』という方向けに、

信頼関係ってどういう事なんよ?

というところを説明していきます。

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信用と信頼の違い

信用と信頼って似てる言葉ですが、性質がちょっと違います。

信用とは?

それまでの行為・業績などから、信頼できると判断すること。

デジタル大辞泉(小学館)より

つまり信用は、

過去の行為や業績を証拠に信じるので、やってあたり前

・相手を懐疑的に見る姿勢からスタートした評価の為、契約が前提。

・お互いに共同体としての意識がなく、ビジネスライクな繋がり。

一方これに対し、

信頼とは?

信じて頼りにすること。頼りになると信じること。また、その気持ち。

デジタル大辞泉(小学館)より

つまり、

・信じる意味は、過去の実績などではなく、未来への期待。

・相手の姿勢などから、任せられる気持ちを抱く事

・お互いに共同体意識があり、お互いに作用しあう歩み寄りが必要

となります。

信用が確たる証拠を前提にしているのに対し、信頼は姿勢や期待など確たるものではないけど信じる。というところで違いがあります。

信用は、金銭取引や契約など証拠となるものを核に信じられているので、それ以上は思考停止で考える余地が入らない。失敗したら、それはあなたのせい(わたしのせい)という話になる。

信頼は、証拠ではなく概念のようなはっきりとはしないものを核にしているので、信じるならお互いに歩み寄りの努力が必要という状態です。逆に互いに自分の立場や役割など考えていかないと信じる事が出来ない。信頼はお互いの努力の賜物なのです。

介護はどちらの関係の世界にいるのか

金融や保険などの世界は一定の価値によって信じる事ができる為、信用が第一といえます。銀行にお金を預けてて、勝手に使われたりしたら困りますよね。

介護の世界はどうでしょうか?

介護サービスは、基本的に最初は契約し、利用者は対価を払い、介護事業所はサービスを提供するという関係から始まります。しかし、生活課題を解決するという複雑な部分に作用させようとしているので、単純に取引関係をしていれば良いわけではありません。

・利用者(家族)側も出来る部分は協力や努力は必要ですし、

・サービス事業所側も出来る限りの提供はやる。

というのが求められています。

質の高いケアをしていくには

契約や取引の信用関係 → お互いに努力する信頼関係

へシフトする必要が出てくるのです。

また他業種連携をする事においても、

別法人や異業種間のやり取りでハードルが低い方がケアへの柔軟な対応や解決まで処理速度が早まります。結果としてケアに幅や深さが出て、チームとして質の高いサービスに繋がるからです。

アドラーの共同体感覚

介護は『人』というかけがいのないものへ関わっていこうする所業です。介護する側とされる側、介護する側と介護する側同士、どちらも信頼関係を構築していかないと進みません。

アルフレッド・アドラーが考え出したアドラー心理学ってご存知でしょうか?個人心理や自己啓発の分野をアドラーは学説的に論じています。現在も研究が重ねられ、発展しています。

その思想の中で、

対人関係のゴールは『共同体感覚』を得ることだ

という概念があります。

『共同体感覚』とは、

①「わたしは共同体の一員だ!」という感覚
  ↓
 所属感

②「共同体はわたしの為に役に立ってくれるんだ!」という感覚
  ↓
 信頼感

③「わたしは共同体の為に役立つ事が出来る!」という感覚
  ↓
 貢献感

④「わたしは自分の事が好きだ!」という感覚
  ↓
 自己受容

参考:共同体感覚尺度の作成 髙坂康雅

上記の『共同体』という言葉を、

・事業所、施設、法人

・プロジェクト、委員会

・〇〇さんのケアチーム

など捉えて考えてみてください。

おそらくですが、自分の介護事業所の現場でイキイキしている介護士さんや看護師さんは①〜④全て当てはまっているんじゃないでしょうか。

また、共同体が〇〇さんのケアチームのように、他業種と連携がある場面で共同体感覚を得る為には、


①○○さんの担当者として、一員になっている。
②他のメンバーが自分が出来ない役割を担ってくれる。
③自分は別の部分で価値を提供できる。
④自分がやっている事が好きだ。

みたいな気持ちになると、共同体としての感覚を持てた状態になります。①〜④で信じられるかって考えると分かりやすいかもです。

信頼関係になるというのは、この共同体感覚お互いに得る事でなし得る状態になります。

信頼関係のある状態とない状態の例

例1 介護福祉士の人の採用

ネットで実務経験豊富で介護福祉士を所持している職員の応募があったとします。

履歴書の経歴、資格を持っているという事で実務経験や勉強をしてきたという信用はありますが、現在事業所で求めているケアを提供できるかは分からないです。入浴、排泄、レク、コミュニケーションいきなり全部任せられる信頼まで起こるでしょうか?

やっぱり、経歴や資格だけでなく、会って面接や、コミュニケーション能力やスキル確認などを行ってから任せていくのではないでしょうか。

例2 大事なもの預ける人、家族と別の人との違い。

お金や大事なものを妻や夫あるいは親に預ける時に、法的な契約など毎回いちいちしないと思います。家族のことを『信頼』しているから、預けられるんではないでしょうか?たとえ、「お金を落としてしまった」「子供が怪我をしてしまった」などが起こっても、よっぽどじゃなきゃ関係が崩れる状態にはならないですよね。『しょうがない』って気持ちになったりして。

一方で、別のあまり関係性の深くない人の場合は、大事なものってそもそも預けられないですよね。もし例えば子供を預けざるをなくて、万が一ミスや「子供が怪我をした」などあったらどうでしょう? ちょっとの失敗だったとしても原因を追求したりするかもしれません。口で言わなくても、不信感や警戒レベルが上がりませんか?「もう頼まない」となる事も十分あり得ます。

上記のように、信頼関係を既に構築している身内の家族と信頼関係を構築していない人ととでは、

結果が同じ些細な事でも、反応は全く異なっていきます。

まとめ

・信用するされるより、信頼しあう関係を持とう!

・信頼は期待を込めてのお互いの歩み寄り、だからお互い努力は必要

・信頼関係はお互いに共同体感覚を得る

今回は大分哲学的な内容になってしまいました。

人を信じるって簡単だけど、単純ではないですよね。

アドラー心理学読んだ事ない方は、入門的な本もたくさん出ているので是非読んで見て下さい。

今回は以上となります。

読んで頂きありがとうございました。

どこかで役に立てたら幸いです。

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