【認知症の方への関わり方】バリデーション法の要点まとめ

介護の心理的技術

こんにちは!介護福祉士のなおべい(@naobei)です!

元々、心理療法としてバリデーションという手法はあるのですが、アメリカのソーシャルワーカーであるナオミ・ファイルさんによってアルツファイマー型認知症やそれに類する症状のある高齢者への関わり方として、

『バリデーション』法

というものが考案され、世界的に広まった認知症ケアのメソッドとなっています。

今回は、このバリデーション法について要点を解説していきます。

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バリデーションって何?

バリデーションの意味

英語では「Validation」で、和訳すると「確認や承認」の意味があります。

そして、認知症ケアのバリデーション法は、とりわけ「承認」的な意味合いが強い理論です。

バリデーション法とは、

・本人が感じている感情や感覚を否定しない

・本人に混乱があっても現実として共感し受け止める

・結果として、本人が生きている実感がもてる

という考え方です。

そして考案者のナオミ・ファイルさんは、高齢者の認知症の方には解決ステージとして4つの段階があり、それぞれのステージにおいて効果のある14の手法を紹介しています。

バリデーションで期待できる効果

バリデーション法によって期待できる効果は、

・利用者にとっては、認知症の進行や社会性の回復などです。

・介護する側の家族や職員は、姿勢と行動の仕方を理解できるので負担軽減

にもなります。

流れとしては、下記になります。

①アルツファイマー型認知症や見当識障害のある後期高齢者には4つのステージがある

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②介護者は『共感』の姿勢で、お年寄りの現実を受け入れて関わる。(お年寄りの身体的状況や言動および行動など)※関わり方として14の手法の導入

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③関わりを続けていくうちに、信頼関係ができる

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④お年寄りの不安が減り、拘束の必要もなくなり、本人の自尊心も回復する

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⑤身体面や精神面の回復、社会性の回復が出来、結果として認知症の進行を軽減し終末期へ繋げられる。

バリデーションは、③の「信頼関係」構築するというところが肝心なところになります。そして、直接コミュニケーションをとる中でどのように対応すれば良いか、という問いに対し、バリデーションは「あるがままを受け入れ、高齢者を変えようとしない」姿勢で関わる事を理念としています。

関わる中でバリデーションの手法がありますが、基本的に高齢者に作用させようとうモノではなく、関わる介護者が『共感』姿勢をとれるようにする為のテクニックになっています。

また、考案者のナオミ・ファイルさんも個々に価値観や病状も異なる高齢者に対し、画一的なマニュアル手法はなく、日内変動も加味した上で、その時々の状況での手法の使い分けが必要と説いています。

4段階の解決ステージ

バリデーション法では、認知症高齢者が抱える4段階のステージがあるとしています。

「認知の混乱」の段階

出来ない事を認識し始める段階

・基本的な身の回りの事は出来る

・時間感覚が薄くなったりや物忘れをし始めている認識がある。

・苛立ちや悲しみの感情が出てくる。

・取り繕う意識により作話で表現したりする。

・読み書きは出来るが、新しいこと覚えたくない。

など

「日時・季節の混乱」の段階

見当識障害や物忘れが顕著になってくる段階

・身の回りの事も補助が必要になってくる。

・時間や場所の見当識がなくなっきて、名前を思いだすのに苦労する

・現実にしがみつくより、内に引きこもるようになる。

・読む事は出来るが、判読出来る字が書けなくなる。

・単純なゲームは可能だが、ルールのあるゲームが難しい。

など

「繰り返し動作」の段階

言葉ではなく、動作による感情や希望の表出をするようになる段階

・身の回りの事が出来ず、介助が必要。

・言葉ではなく、動作による感情や希望の表出をするようになる。

・時間感覚は本人独自の感覚になっていく。

・読み書きは意欲自体無くなり、出来なくなってくる。

「植物状態」の段階

完全に自分の内の世界にこもってしまい、話さなくなる段階

・周囲の環境との相互関係がほとんどなくなっていく

・認知機能の評価も困難になる

バリデーションで行う14の手法

皆さんの周囲の中で、

「この人と話しやすい」

「何でも話せちゃうな」

って方はいませんか?

バリデーションの手法は14種類ありますが、実は専門的なものではなく普段からコミュニケーションの中で自然と行っていたりする事だったりします。

話やすい人は、もしかしたら既にバリデーションのいくつかが自然とできてる人かもしれません。

コミュニケーションをとる中で『共感』姿勢が取れてる方と話すと、自分の思いを出しやすくなりますし、承認されている感覚も得られます。

下記でバリデーションの手法を紹介します。

センタリング

精神の集中をする事です。

呼吸を整え、怒りや焦りなどの気持ちを一旦解放し、コミュニケーションを取りたい相手に意識を集中させます。

相手への共感をするには、自分の感情を落ち着かせ解放する必要があります。

相手にとって事実の言葉を使う

認知症のBPSD(周辺症状)のような言動や行動があった際、

・自分自身の感情を問う「なぜ?〇〇したの?」のような表現

・本人の世界を否定してしまう印象を与える表現

は避け、間違いがあっても「本人にとっての事実」としてコミュニケーションをとる。

そして、「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「どのように」の部分で相手の世界に合わせ、質問をしていきます。

周辺症状の要因が怒りや悲しみによるものであれば、否定されずコミュニケーションをとる中で気持ちが緩和される可能性があります。

リフレージング

その人が言った事の要点を介護側が言葉で繰り返すことです。

相手に合わせて、声の調子や早さ、会話のリズムなども同じ調子にしてみます。

お年寄りからすると、自分が言った言葉を相手から聞くと、共感してもらえた感覚が得られ元気が出てきます。

極端な事を言って、感情を出してもらう

あえて最悪な状況を考えてもらい、現状の怒りや悲しみを解放させる事です。

最悪な状況は感情表現がしやすいので、そうした気持ちを出してもらう事で感情が落ち着かせる事ができます。結果として、不安を和らがせるケアになります。

反対のことを想像してもらう

お年寄りが問題に感じている事に対し、反対の問題がない状況を想像してもらい、自分にとって馴染みのある解決方法を思い出してもらう。

思い出話しをする

レミニシングともいいます。過去を思い出してもらう事で、昔対処していた感覚や方法を呼び覚まし、今の状況の気持ちを乗り越えられるようにします。

真心を込めて、視線を合わせる

介護者がそばで優しく視線を合わせていると、お年寄りは愛情を感じ、安心した気持ちになります。視力が落ちた方でも視線は感じ、意識がぼーっとしている方も今の現実を再認識するような事もあります。

あえて曖昧な表現で伝える

認知症の進行によって、言葉の理解や表現が難しくなってしまう事があります。しかし、固有名詞などは出てこないけど、「あの男、女」「それ、あれ」など曖昧で幅を持たせた表現を使う事でコミュニケーションは繋がる事があります。

よくデイサービスなどでは、同じくらいの認知症の進行度の利用者同士で延々と笑ってコミュニケーションが続く場合があります。途中で、具体的な指摘が入ってしまったら、話はストップしてしまうのですが、お互いに曖昧な表現を使う事で会話を続ける事が出来るのです。

結果として、会話交流の機会が持て、自分の世界にこもっていく状態になるのを防ぎます

低くはっきりとした優しいトーンで話す

介護者の声かけで、

・トゲトゲしい声 → 怒らせてしまったり、悲しませてしまう

・高くて小さな声 → 周波数的の関係で高齢者の耳には聞こえにくくなっている

・はっきりとして低い声 → 聞き取りやすく、落ち着いて聞ける

となります。

なので、はっきりと低い声で優しく話すことが出来れば、安心感を与える事ができます。

※たまにキンキンと高い声でお年寄りへの声かけをしてしまう方を見ますが、高齢者の耳は高い音の周波数を拾うことが出来ないので注意が必要です。何度も聞き返しで苦労されている方は、声量の前に音の高さを意識してみるといいかもしれません。

ミラーリング

相手の動作や感情を観察しながら合わせること。

例えば、

・探し物をしている方がいれば、一緒に探してみる。

・徘徊行動がある方がいれば、一緒に歩いてみる。

鏡に映したように一緒に同じ行動をとる事で、相手の世界に入り、共感を示すことができます。

内気な方も、行動から共感する事で、外へ意識を向けるきっかけになる場合もあります。

満たされない人間的欲求と行動を結ぶ

出来ない行動が増え、満たされない欲求を他の行動で埋め合わせようとする場合があります。その中で周囲の人が問題視するものが、BPSD(周辺症状)となります。

満たされない欲求がどの行動に結ばれているのかをコミュニケーションを通して理解していきます。一見おかしな行動でも、本人の中の理由として「どんな感情があるのか?」「どんな欲求があるのか?」を理解し、介護する側が受け入れられるようになればケアする側も気持ちは楽になります。

その人の好きな感覚に合わせる

視覚、聴覚、嗅覚、触覚など人によって好きな感覚がそれぞれあります。趣味趣向や仕事や経験などで、敏感なポイントが変わります。

コミュニケーションをとる中で、相手にとってイメージしやすい感覚の表現を使うことで、相手の世界に入りやすくなります。

また、言葉の表現が上手く出来なくなってきている方が、使う表現がどの感覚からきている表現なのかもコミュニケーションを取りやすくするきっかけになります。

例 「あの時バーンっていって・・・」が、バーンとした景色(視覚)なのか、バーンと音がなったのか(聴覚)、あるいは視覚聴覚両方の出来事なのか。

タッチング

介護者が親密な行為として、お年寄りに触れる事です。なので、介護職とその人との関係性やコミュニケーションの内容によってタッチの仕方を変えます。

安心感を与える事と、認知症の進行により内にこもってしまった人の意識を外に向けてもらえる効果があります。しかし、身体が動かなくなった方でも抵抗感のある方もいるので、無理に行うのは適切ではありません。

・母親のタッチ → 頬の上側を指先で撫でる

・父親のタッチ → 頭の後ろを指先で軽く撫でる

・パートナーのタッチ → 手の外側を耳たぶ〜首中央に撫で下ろす

・子供のタッチ → 首の後ろを指先で撫でる

・兄弟や友人のタッチ → 両手で肩と背中上部をさする

音楽を使う

言葉によるアウトプットのコミュニケーションは難しくなってきても、若いときに覚えたメロディーや歌は脳の回路に補強を重ねインプットされていたりします。

言葉の理解や表現が難しくても、好きだった曲は最後まで覚えて歌える人もいますよね。

歌うことによって、言葉を口に出す機会になり、気持ちも元気になります。

まとめ

バリデーションは、高齢者の否定をせず、あるがままを受け入れることで共感する姿勢を介護する側がもてる方法です。

介護福祉士や社会福祉士の試験では、受容傾聴の概念を勉強する機会もあり、介護職の現場では、共感する姿勢での介護を普通に行っている方も多いかもしれません。

どちらかというと、介護中のご家族がバリデーションを知ると気持ちの負担が減るように思います。関わり方を掴むきっかけになるかもしれません。

今回は以上になります。

読んで頂きありがとうございました。

どこかでお役に立てたら幸いです。

【参考文献】バリデーション・ブレイクスルー認知症ケアの画期的メソッド/著ナオミ・ファイル、ビッキー・デクラーク・ルビン

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