当時泣くほど悔しかった離設事故を振り返って【施設長時代の失敗】

介護のリーダー向け

どうも!介護福祉士のなおべい(@naobei)です!

 

今回は、僕がやってしまった大失敗について語っていきます。

デイで起きてしまった離設事故についてです。

ちなみに当時デイの施設長をやっていました。

 

ぶっちゃけ、

「ありえない!」

「そんなんアホだろ!」

と感じられる方もいるかもしれません。

今考えても、ホント自分ダメだったなぁと思います。

しかし、未だに利用者がいなくなって探して焦る夢を見る事もあるんですよね。

 

けど、

このブログを通して僕の失敗談からでも皆さんにお伝え出来ることもあると思って、

今回記事にしてみました。

反面教師にして参考にしてほしいと思います。

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離設事故ってなに?

離設事故とは、

介護サービスを利用しているお年寄りが施設の外に勝手に出てしまい、行方不明になってしまう事故のこと

を言います。

  

介護のお仕事をされている方ならご存知だと思いますが、

離設事故は、誤薬、虐待と並んで絶対にあってはならない事故の一つです。

なぜ、あってはならないかというと、

①事故によって命の危険性が高い

②職員の不注意や行為が原因である可能性が高い

からです。

デイサービスでの離設事故の経験

事故が起こってしまったワケ

正直にいいます。

僕自身はデイサービスの施設長時代に3回離設事故を経験しています。

全て僕個人のせいというのは言い過ぎかもしれませんが、ケアやマネジメントや体制含めて僕の考えが甘かったことが要因にあります。

つまりリーダーとしての判断ミス。

 

これが多いか少ないかというと、僕は多いと思います。

安全管理について仕組み化がしっかり出来ている事業所は、一度も離設は起きていないというところも実際あるからです。

 

事故の具体的な詳細については、とんでもなく話が長くなってしまうので、割愛しますが、

いずれも幸い発見することが出来、命の大事になることはありませんでした。

 

事故が起こってしまったワケは、

・利用者本位の施設の実現の為に、鍵をかけるのを禁じていた

・職員人数が少ない状態であっても、そのルールを維持

・利用者さんの出たい行動の分析が甘かった

他にも色々要因はあったのですが、僕の施設での事故はここが主でした。

 

『甘すぎる』

 

と思われるかもしませんが、

僕は利用者本位のケアをずっと心がけやってきました。

今でもそれは変わらないです。

しかし、当時はその意味をちゃんと考えていませんでした。

 

「熱意さえあれば、良い介護が出来る」

それだけでやってた気がします。

確かにそういった気持ちは介護の仕事を続ける上では大切なんですが、

それだけじゃダメな現実を思い切り突きつけられました。

 

ただ誤解しないでほしいのですが、

鍵をかけていない事業所の批判をしたいわけではないです。

判断する上で考えるべきところがある

というところをお伝えしたいのです。

最適解が見つからないときもある現実

当時在宅のデイや宅老所などで、

たとえ利用者の外出や帰宅願望があっても、出入り口を解放して、鍵を掛けないで自然に対応出来る事業所であったほうがいい

風潮がありました。

今でも解放しているところは普通にあります。

 

ただ僕が感じていたのは、

鍵をかけていると

「プロとしてケアに自信がない事業所なんじゃねーの」

があった気がします。

 

そこで、

僕のデイでも、どんな利用者が来ようと鍵をかけるのを禁止していました。

「どんな利用者でも」というところがミソでもあるのですが、

たとえば、

・徘徊が頻回で帰宅願望の強い人

・精神疾患があり行動のスイッチが入るタイミングの読めない人

・身体がまだまだ元気とプライドが高く、走ることもできる人

など

そんな感じの方々を、しかも複数名受け入れしていた状態でした。

中には、特養や他のデイから既に離設した経歴もお持ちの脱走スペシャリストもいました。

これ見て、

「そんなん断れよ」

「受ければいい問題じゃない」

「鍵かけるのは当たり前だろ」

という意見の方もいるかもしれません。

 

実際に離設を起こした時は、

家族の方から

「鍵をかけないのはオカシイ!」

「安全に過ごしてもらう為に、デイサービスを頼んでいるのに!」

とキツくお話を頂いたこともありました。

 

そのご家族には、利用者本位の実現の為に「施設の解放」をしていることをお伝えし、僕らの意向のご理解して下さいましたが、

そこでハッしました。

「これはオカシイ」

「実際、施設の解放というカタチだけの利用者本位実現を僕ら(介護職)が勝手に思っているだけで、本質は別のところにあるんじゃないか」

「家族や利用者には、カタチだけの利用者本位は求められていない

そんな風に思ったんです。

 

実際、現場では施設の鍵を解放していても、職員がマンツーマンでつき室内で過ごすよう何度も説得するという場面が頻発していました。

しかし、それは対処してるだけで、解決には結びついていません。

 

解決するには、

本人が考えている希望やニーズ(こちらにとってはある意味問題ともいえる)を分析して、本質的な部分に触れる対策と行動をとらなくてはいけません。

声かけによる抑制ではなく、職員の工夫した対応で上手く意識がそれる事もありましたが、失敗する時もあります

分析しても、帰宅や自主的な外出行動が出たときに「その人にとっての最適な解」が導き出せない時もあります。

 

けど、リーダー「最適解が見つからない場合もふまえてどうするか?」を考えて決断しなきゃいけない。

ご家族と話しをする中で、その事に気付きました。

離設事故から得た教訓

離設事故を通して、僕自身が学んだ事をいくつかご紹介します。

事前説明の大切さ

見学や契約時などで施設環境やケアの対応について、

・事前に説明する

・意見の聴取をする

これらをしっかり行うのはホントに大切です。

 

僕の場合は、離設事故が起きるまでは出入り口の施錠をしているかどうかについては説明する事は特にしていませんでした。

契約書や重要事項説明書に載っている内容ではなかったからです。

 

「実際利用してみて、必要あれば説明すればいい」というのも一理あるとは思いますが、

安全面や居心地に関する部分の対応については細かく説明はすべき

だと今では考えています。

 

デイサービスや特養など箱型のサービスは長い時間滞在する事になるので、

可視化できる部分はできるだけ開示する

お互い納得して利用や受け入れができる

という事になっていくと思います。

逆に、

事前説明がないと合意が生まれないので、何かあった時にお互い不安になってしまいます。

利用者人数が増えた時こそ仕組みを見直す

介護サービスをやっていて、仕組みの見直しは定期的に行っていくべきですが、

 

特に

①利用者人数が増えたとき

②職員人数が減った時

という、この2点の場合は必ず確認した方がいいです。

 

①と比べると②は割と対応せざるをない危機感が出るのでちゃんとやる事が多いですが、

①の利用者人数が増えた時は忘れがちです。

職員メンバーが変わらないから、なんとなく対応できる気分になってしまうのかもしれません。

 

僕の場合も、利用者人数が増えたときの仕組みの修正を怠ってしまいました。

ちょうど離設事故が起こってしまったのは、

ケアの質の改善や職員の意識改革など行い、営業活動と付随してデイサービスの利用者の数が急増してた時期です。

 

利用者が増えるという事は、

・人数的な要素

・求められるニーズの要素

の両方の負担が増えるという事です。

それらに対して、その分職員の対応施設の環境設備でなんとかカバーしていくのは変わりません。

 

利用者人数が増えれば、カバーする比率が当然減っていきます。

たとえば、

【以前】

利用人数5名に対し、職員人数3名 =5:3の比率(負担は軽い)

→ゆったり仕事ができる。ぶっちゃけ一人サボっていても回る。一人のワンマンプレーでなんとかする。

 

【利用者増加後】

利用人数10名に対し、職員人数3名 =10:3の比率(負担が重くなる)

→全員が協力して、役割をこなす必要が出てくる。ワンマンプレーでは回らないので、連携が必要。

数字はやや大げさな例えですが、利用者増加の前後で状況は大きく変わります。

 

今思えば優先的にやるべきところなのは明らかですが、

別件でも様々なタスクを抱えているのも相まって当時の僕のキャパでは、そこまでの対策まで追いついていませんでした。

 

とはいえ、

この記事を読まれている介護リーダーの方は、カバー比率が減るところは安全面に直結するところなので、ホント注意してください。

場合によっては、今までやっていた当然のようにやっていった業務を省いたり、役割の変更をする必要も出てきます。

職員ができる限界と施設環境でできる限界を見極めて、全体の見直しが必要になってきます。

帰ってもらう判断は悪いことじゃない

これはデイサービスあるあるなのですが、帰宅願望のある方は結構います。

長期のお泊まりのサービスであるならば、帰れないことを納得してもらうしかなくなりますが、

デイはその日には帰るのは確かです。

なので、

・帰る時間まで待てるかどうか

・他の事に興味をもって過ごせるかどうか。

がどうしてもキーポイントになってきます。

 

デイに来る目的は様々ですが、

一般的に

①入浴でキレイにする

②脳や身体の機能維持や向上

③余暇活動の楽しみ

④家族の介護負担軽減(レスパイト)

のどれかやまたは重複した目的で使われる事がほとんどです。

 

けど、認知症や脳の障害、元々のせっかちや怒りっぽい性格で待てない人もいます。

そういった人に対して、僕ら介護職は色んな情報を集めて分析して、色んな方法や工夫を試すワケですが、

最適解が見つからない

場合はホントにあります。

 

利用者さんの中には、

「普通に疲れたから、家で今日はゆっくりしたい」

「孫が夏休みだから、早く帰って遊んでやりたい」

とか、めっちゃ納得のいくような理由を言っている方もいます。

そりゃそーだよねと思うときも正直あります。

 

そんなときどうするか?

 

各自の思惑があります。あくまでこんな感じのあるあるイメージ。

利用者 → 帰りたい

事業所 → プロとして良い対応をしたい。サービスを利用したもらった方が売り上げになる。

家族 → 帰ってこられると休めない。仕事ができない。

担当ケアマネ → 上手く対応してほしい。


僕は以前は少しでも利用してもらえるよう対応していましたが、

事故後は、

「帰ることもできる」選択肢

を作ることにしました。

言ってしまえば、全体の思惑の中間のようなポイントです。

 

このポイントの基準となる要素は、

・本人に希望に対して、色々な対応してみたが解が見つからない

・本人の意思が強い

・そのままだと他者への暴力行為や事故などが起きるリスクが高い

・対応していると、他の利用者のサービスに支障が出る

・自宅に帰ったとしても、安全面は確保可能な状況の方である

こうした部分をふまえた上で、

ご家族や担当のケアマネへ相談の連絡をし、

「帰ってもいい」選択肢を作りました。

 

重要なのは、

施設側がきついからといって勝手に対応はしない

ということ。

 

帰ってもらう対応をした結果、逆に危険な状況にさせてしまうのは僕らがすべき判断ではないからです。

サービスが使われているのかは、もちろん解決しなきゃいけない生活ニーズがあるからですよね。

サービスを利用しているのに施設の勝手で決めるのは本末転倒になってしまいます。

 

こうした仕組みをスムーズに行うには、やはり事前に説明や同意の機会を作って理解してもらうことは重要なところです。

全職員に重大さを理解してもらう

離設事故と聞いて、みなさんはどんな反応をされるでしょうか?

「へーそうなんだ。」

「え、やばいよ。やばいよ。やばいよ。」

「絶対起こしちゃいけないだろ。」

と人それぞれ色々だと思います。

 

嘘でしょ?

と思われる方もいるかもしれませんが、

これは実際現場にガチリアルで居合わせた職員であっても発生します。

 

直接リアルな状況をみて意識が変わる人もいますが、

中には、あまり自分とは関係ないという態度をとる人もいます。

あとは重大だと認識はあるが、実際のリアルな現場に出くわすと無関係です職員になってしまう人も。

 

でもこれは仕方ないです。

大変と思えることに防衛的な反応をするのはある意味、人間的には正しいとも言えると僕は思います。

けど、

プロの介護職としては、重大性を認識して、しかるべき時に動ける人であってほしいですよね。

 

であるならば、

みんなを引っ張るリーダーは、

大きな事であるのを皆んなに知らせる必要があります。

なんとなく「こんな対策考えたんで、報告書読んどいてください」的なのは、

離設事故のような命に関わる事故では絶対やってはいけません。

多少職員がドン引きするくらいに分析や問いを出してもいいと思います。

 

黄色や青の信号だと思われないように「赤信号な事だよ」というのをちゃんと伝えましょう。

まとめ

・事前に事業所としてどんな環境であるのか。どんな対応を取るのかについて関係者に説明をしておく。

利用者の対応のカバー比率が減少するときは、既存の仕組みを見直す。

帰れる選択肢を作るのも一つの手

・職員に重大な事である認識をしてもらう

 

今でも離設事故を起きて、いなくなってしまった利用者さんを必死に探したときの様子をハッキリと覚えています。

そして、見つかったときの安堵感と、家族と話をして泣きながら謝った事は忘れられません。

良いのか悪いのか分かりませんが、

結果としてこうした出来事が、僕自身介護現場のリーダーとして、覚悟を決めてがっつりやるきっかけにもなったわけですが、

運が悪ければ利用者の命に関わっていてもおかしくない事でした。

単純に運が良かっただけです。

 

お恥ずかしい内容を延々書いてしまいましたが、

僕の経験を反面教師にしつつ、一つの参考にしてもらえたら幸いです。

読んでいただきありがとうございました。