どうも!介護福祉士のなおべい(@naobei)です!
生活相談員という仕事はご存知でしょうか?
介護施設でマルチに動くプレイヤーの業種なのですが、やる事が多過ぎて外から見ると
何をやっているのか分かりにくい仕事でもあります。
僕自身デイサービスでの生活相談員経験があり、施設でも生活相談員と一緒に働く場面もあります。忙しい仕事なのですが、それだけではなく、ホントに成長出来る職種だと思います。
今回は、そんな生活相談員の良い点と大変な点含めて解説していきます。
生活相談員とは?
どこで何をする人なのか
特養や老健、デイサービスなどで、利用者の相談支援を行う人です。
同じく相談支援を行う介護の仕事で、ケアマネージャーがいますがこちらはケアプランの作成や担当者会議の開催を行うのに対し、
生活相談員は、施設と利用者間における利用相談や関係各所との中間的な連絡窓口の役割を担います。
具体的な業務内容
具体的なところだと、
・利用者や家族との相談
・施設の見学対応
・施設の広報活動
・介護現場への情報共有
・利用者との契約や説明
・苦情処理
・後見人や各ソーシャルワーカーとの調整
・介護保険に関する問い合わせの対応
など
施設状況によって専従になるか、兼務する場合もあるかによって業務の幅が異なってきます。例えば、デイサービスやリハビリデイでは介護職員や機能訓練指導員などの役割と兼務して業務に渡る場合もあります。
生活相談員が対応することになるのを大きく分けると、主に3つです。
①家族や利用者に関する対応
②自分の法人内の各専門職や各部署との対応
③外部の各関係機関や関係者との対応
生活相談員の資格要件
生活相談員になるには、特定の資格を保持していることや自治体ごとの一定の条件をクリアしていることが必要になります。
生活相談員自体には、資格証のようなものはありませんが、その仕事を負う人は資格要件書類と一緒に、施設所轄の行政に届け出することになっています。
精神保健福祉士
福祉の国家資格の一つ。福祉系大学や養成機関を経て、受験資格を得られます。国家試験合格後、資格登録することで就けます。
主な役割は、精神に関する障害のある方に特化した支援や相談を担う専門職です。
社会福祉士
福祉の国家資格の一つ。福祉系大学や養成機関を経て、受験資格が得られます。国家試験合格後、資格登録することで就けます。
役割は、児童福祉、障害福祉、高齢者福祉と幅広く、福祉と医療分野に関する相談や支援をしていく専門職です。
社会福祉主事任用
任用資格として認められるものです。社会福祉主事と名乗れるのは、公務員試験も合わせて合格して福祉事務所に勤務される方になります。
生活相談員として働く場合は、社会福祉主事任用として要件をクリアしたこととされます。
他の国家資格取得と比べて、福祉系大学などを経る必要はないので、中途転職の方でも比較的取得しやすいです。
取得するには、
卒業した大学などで、厚生労働省で認められている福祉に関する科目を3科目以上履修していること。都道府県の講習会や、指定養成機関での資格取得をしていること。
が要件になります。
その他各行政で認められている要件をクリアしている人
その他として、各行政ごとに生活相談員として働ける基準が異なっています。
なぜ異なってしまうのか?というと、
上記の精神障害福祉士、社会福祉士、社会福祉主事任用は社会福祉法第19条で生活相談員としての資格を認められているのですが、さらに「同等以上の能力を有すると認められる者 」も対象とされています。
この「同等以上の能力を有すると認められる者 」の解釈が、各行政ごとに違う為、資格要件も一緒に異なってしまっています。
『各都道府県の一例』
【北海道、大阪府、埼玉県、沖縄県】
・ケアマネージャー
・介護福祉士
【東京都】
・ケアマネージャー
・実務経験1年以上の介護福祉士
・老人福祉施設の介護提供に関する計画作成1年以上の経験者
・老人福祉施設の施設長1年以上の経験者(デイやショートステイ施設長は、社会福祉施設長資格認定講習会の課程を修了や社会福祉事業に2年以上従事していることも追加で必要)
【神奈川県】
・ケアマネージャー
・介護福祉士
・介護保険施設又は通所系サービス事業所において、常勤で2年以上介護等の業務経験者(ただしその他に最低1名は他の取得要件での生活相談員が配置するよう努めること)
【福岡県】
・ケアマネージャー
・介護福祉士
・社会福祉施設等で3年以上勤務し又は勤務したことのある者
県境で住んでいる方は、複数の都道府県での勤務も検討出来ると思います。
無資格者でも生活相談員になれる要件を満たしている可能性もあるので、是非、働く施設の都道府県の生活相談員要件を確認しておいた方がいいです。
ネットでも各行政から開示されています。
生活相談員に求められる能力
こんな人が向いている
・現場だけじゃなく、幅広く福祉の仕事をしたい
・コミュニケーションスキルを学びたい、活かしたい
とにかく人と接する機会が多く、業務の幅も広い仕事です。
利用者の方と接する機会ももちろんありますが、関係各所のパイプ役になることも多々あります。
毎日色々な事に触れるので、介護で出来る事はとにかく色々興味があるという方や一つの専門だけでは飽きてしまうという方にオススメです。
必要なスキル
・介護や医療に関する知識
・接遇全般のビジネスマナー
・電話応対や相談時のコミュニケーションスキル
・パソコンや記録の情報処理スキル
・スケジュール管理
・説明するプレゼン能力
端的に言うと、
今の時代に求められるビジネススキル全般と、介護や福祉に関する知識を
上手く生かしていく必要があります。
めちゃくちゃ大変そうに感じるかもしれませんが、全てでスペシャリストを目指す必要はないです。
どちらかと言うと、調整役的な立場になる事が多いので、バランスよくこなし、難題はその他のスペシャリスト(介護や医療の専門職)に相談しつつ業務を振っていける方が大切です。
生活相談員になるメリット
その後のキャリア選択が広がるくらい成長できる
介護職オンリーと比べて様々な業務に触れることになるので、
ぶっちゃけバリバリやられている方は、介護以外の他の仕事についたとしても活躍できるだけの能力はついていると思います。
それくらい成長できる領域の幅が広いです。
逆にいえば前職で福祉とは全く違う経験をされている方でも、マネジメント経験やコミュニケーションによる交渉経験など能力を生かせる可能性も高いです。
介護士、看護師、作業療法士、理学療法士など介護に携わる仕事は色々ありますが、
色んな業種や機関と法人の枠を超えて横断的に関わっていくのは生活相談員の醍醐味でもあります。
福祉職の中でも『ソーシャルワーカー』っぽさをかなり感じる職種だと思います。
土日祝日休みが優先されやすく、日勤メイン
平日の日中はバンバン業務が回ってくるので、忙しくなります。
連絡を取り合う、病院のソーシャルワーカーやケアマネの担当者が基本平日勤務の土日祝日休みで働いている事が多いからです。
その為、こちらも合わせて土日休み優先で、日勤メインのシフトになりやすいです。
一般介護職より給与が高い
施設形態にもよりますが、法定基準で生活相談員の配置が必要なサービスは介護職員より高くなることは間違いないです。
生活相談員がいないと、運営基準違反になってしまいますから。
ただ生活相談員の平均年収を載せている求人サイトが多いですが、生活相談員は様々な職種と兼務することが非常に多いです。
例えば、生活相談員兼介護職員、管理者兼生活相談員、生活相談員兼事務員など。
このように現場役職や事務職と兼務する事が多いので、仕事が出来る人ほど上振れする可能性もあります。
あくまで参考程度ですが、
就職したばかりだと、介護職員〜ケアマネージャーの中間くらいの給与。
ただし、その後の働き方によっては上振れする可能性がある。
生活相談員で大変な事
説明責任のある業務が多い
相談支援を受ける仕事なので、人になぜそうなるのかを説明する機会がとても多いです。
具体的には、
サービスと利用者間の契約時の内容や同意書の説明、利用相談、苦情相談、その他困っている事の相談など。
人に物事を説明するのって慣れていないと難しく感じますが、、ポイントを押さえておけば大丈夫です。
説明が求められるポイントは、
・法律をふまえコンプライアンスに則った根拠ある説明
・福祉職のソーシャルワーカーとしての根拠ある説明
の2点は押さえておく必要があります。
法的な根拠と専門職として根拠を使い分けて、相手に理解してもらえるようになることが大切です。
現場のケアも任されやすい
デイサービスでは、介護職員と兼務することが多いです。
その為、介助やレクリエーションなどの業務も普通に介護職員と同じようにやるべき仕事として入っていきます。
ただ、一般介護業務以外でさらに相談員業務がある状態になるので、
オーバーワークになりがちです。
介護業務に偏り過ぎて、残業して相談員業務する職員も実際結構います。
あまりに人手不足ではしょうがないですが、
人が足りている場合は、当たり前ですが相談員業務優先で仕事をするべきです。
しかし、つい介護職員も兼務してるがゆえ、他の職員も介護業務を頼ってきがち。
介護業務のやり過ぎはホントに仕事が回らなくなるので、周りの職員にも仕事量などを理解してもらっておいた方がいいです。
ケアとコンプライアンスのバランスが求められる
一番大変なところはここかもしれません。
どんなに利用者にとって良いと思えるケアのアイデアが浮かんだとしても、会社のルール上出来ない、行政のルール上できないという場面があります。
はっきりと出来ないなら諦めもつき、当事者への説明もつくのですが、ルール上グレーのケースも結構あったりします。
そうなると、関係者間で相談や交渉という形になります。自分たちの意見と相手の意見、第三者の意見をうまく合わせていく必要があります。
どうすればいいか大変悩む場面もありますが、話し合って良い着地ポイントを探っていくしかないです。
まとめ
生活相談員は業務の幅がホントに広いですが、その分
・介護業界が幅広く理解できる
・ソーシャルワークとビジネスの両面で成長できる
そんなお仕事です。
また、他のソーシャルワーカー職が研修義務や更新手数料など支払いがあるのに比べ、
生活相談員は特に手間になるものはありません。
資格取得や経験年数の経過などで生活相談員をやる機会があるなら、
是非やってみるのをオススメします。
介護職だけでは出来ない経験が積めるので、楽しいですよ!
今回は以上となります。
読んでいただきありがとうございます。